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亡国のユダ【海図35】

「俺の出身地にある信仰みてぇなもんで、おそらく即身仏ってやつだ。」

「ノブナガはジャポン生まれだったな。ソクシンブツ、聞いたこと無いがどういう信仰なんだ?」

クロロが言うとノブナガが説明を始めた、それによると即身仏とはジャポンでは知名度の高い、仏教の教えで木食行という木の実や木の根だけを食べて生活し身体を極限まで痩せ細らせた後、土中に入り、その身が果てるまで経を唱えたり、瞑想しながら鈴を鳴らすことで死後仏になれる、という教えであるそうだ。しかも土中に入る前の木食行は1年以上も続くらしい。

「まあ俺もそんな詳しいことを知ってるわけじゃねぇが、簡単に言うとそういうことらしいぜ。けど、酸素が無くなって死んじまうと仏にはなれない。で、この竹筒は多分通気口代わりだぜ。ジャポンでも何百人もの僧侶が即身仏になろうと試みたらしいが結局仏になれたのは20人もいないって話だせ。」

ノブナガはそう言いながら竹筒を覗き込む。

すると、ノブナガの言葉通り、本来竹にあるはずの節は抜かれており、パイプ状になっていた。

「鈴は何のために鳴らすんだ?」
「外の人間に死んだことを伝えるためだ。鈴の音が聞こえなくなったら、そいつは仏になった、という証になって、んで、そのまま土中に葬られたままになり、仏として祭られる。ってわけだ。」

「その、モクジキギョウとやらをすることでミイラ化する、ということか?」

「そうなんじゃねえか?木の実っても大した量食うわけじゃねぇし、木食行を始めたときにはもう仏になる事を決めてるだろうからな。だが、通常なら仏になったあとは通気口変わりのこういう棒は抜かれて土で穴を隠されるはずなんだがなあ。」

ノブナガの言うとおり、竹筒をさしたままでは明らかにこの下に何かが埋まっている、と知らせているようなものである。

クロロはいつもの様に顎に手をあてて考え始めた。

だが、その時地下にいながら地上から獣の叫び声が聞こえた。

「なんだ!?今の声!」
フィンクスが朽ちたドアから顔を出して様子を見てみるがここからではわからないようだ。

「何かいるか?」
クロロが聞いたがフィンクスは首を横に振る。
「いや、けど上の方で妙な声が聞こえるぜ。」

「クロロさん、多分コイツですよ、このミイラの念能力ですよ。アタシらが掘り起こしたから念が強まってるんです。多分上は念の幻獣が現れていると思います。」

シンファが言うとクロロも頷いた。

「ああ、俺もその可能性は感じた。一旦上にいくぞ。」
クロロの号令で来たときの何倍もの早さで階段を駆け上がっていった。
戻る際玉座にはめ込んでいたクリスタルを外すと玉座はしまっていった。
一度動かしているとは言え決してスムーズとはいかないペースで、それでも何事も無かったかのように地下への道は閉ざされた。


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