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あの人の為に!〜改装〜

本殿が崩れそうです。

端的で核心をついている知らせがクウの元に入ったのは5日前のことだった。

今、クウはフェイタンとウボォーギン、フィンクス、ノブナガと共に東の国ジャポンまで来ていた。

「で、クウ本殿が崩れるってお前のホームのことだよな?」
ノブナガが森を歩きながら聞いた。

「うん、そう。まあ1200年の古い建物だし、ちょこちょこ補修とか改装はしていたけど、全部じいちゃんが仕切っていたから、千早姉さんだとわからないことがあるんだと思う。」

「まあ、確かにぼろかったな。んで?俺らが呼ばれたのはどういうわけだよ?」
ウボォーギンが聞くとクウは一言
「筋肉?」
と答えた。

「筋肉ってクウ、おめぇなあ、それで言ったらノブナガは力ねぇぞ?」
とフィンクス。
「あ、それは何となく、かも。ウボーとノブナガは仲よさそうだったし、一緒のほうがいいかと、思って。」
クウが言うとノブナガとウボォーギンは一瞬目を合わせて
「ケッ。」
と同時にそっぽを向いた。

心外だと言わんばかりの態度だがあまりにも息があっていて、フィンクスがその様子に笑っていた。
「ったくよぉ、フェイタンから珍しくメールが来て、クウがピンチだから助けるね。とか言って全然ピンチじゃねぇじゃねぇか。」

ノブナガの文句に全力否定したのは他でもないクウ自身だった。

「ピンチだよ!大ピンチ!神社が崩壊したら読経の仕事こなくなるし、お布施もなくなっちゃうと金銭的に大ピンチ。」

「おめぇなぁ、おめぇの村盗賊村だろうが。」
と、今度はウボォーギン。

「それはそれ、これはこれ。」

「……おいフェイ、躾がなってねぇぞ。」
ウボォーギンがフェイタンを睨むもフェイタンは素知らぬ顔で
「はは、クウらしいね。」
と言うだけ。

「ったくよぉ。まあもうここまで来ちまったしやるしかねぇけど、クウ絶対報酬よこせよ。」

「もちろん。村の皆だってそれくらいわかってるよ。報酬は期待しても良いと思う。」
そういわれれば、俄然やる気も出るというものである。
森を抜け、滝の音が響いてくれば、クウの村はもうすぐそこである。

「それにしても相変わらず鬱蒼としてんな。この森。こんなところまでわざわざ参拝に来る奴いるのかよ?」
フィンクスの疑問にクウは
「反対側から来る人が沢山いる。この森を抜ける行き方は村の博徒や忍がいなくなった今では知ってる奴もいない。」
と答えた。つまり自分達がこれまで使ってきたクウの村への道は邪道なのだと言う。

「あとそういえばじいちゃん、前に何年か前からネットビジネス始めたって言ってたし、オンライン読経?とかいうのやってるって。私にはさっぱりわからないけど。」
機械全般苦手なクウは祖父のやっているネットビジネスはよく分からなかったが、最近ではそちらによる収入も多いのだという。

「ってもお前の爺さんもういねぇだろ?誰がやってんだ?」
ノブナガが聞くと
「多分東がやってると思う。念能力も読経を使ったものだし。経は読む人によってすごく印象が違う。私はじいちゃんの経と東の経しか知らないけど、どちらもすごく心地いい。」
思い出すように話すクウの横顔はほんの少し微笑んでいた。


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