誰かを好きになるなんて、
私にはないだろうなって思う。
こんな私のことを好きって、
言ってくれる人もいないと思う。

と思っていた。
そう、思ってた。
だけど

「ぽてこ、俺の物になりなよ」

この男だけはいつも私に付きまとってくる

「私は物じゃないですから!」

「ちがうの…?」

少し首を傾けるイルミさん。
かわいいけど私は騙されない

「違いますよもう…」

力なく呟くと、ごめんごめん冗談だよ。
なんて……貴方がいうと冗談に聞こえないんですけど
ところで、

「……なんですかこの手は」

「? 頭なでてるんだよ」

頭のなでかた雑すぎでしょう…
嫌がらせかと思ったわ。
髪の毛グチャグチャだし…
もう最悪……

「イルミさん」

「なに?」

「なんで私に関わるんですか」

私がずっと思ってたこと。
俺の物になれっていうのは聞いてたから。
でも、それはおもちゃとしてなんだろうなって思う。

イルミさんの方を見ると目が合った。
なんかため息ついてるし

「いつもいってるじゃん。君が好きだからだよ」

あ…
初めて好きって言った…

「………」

「どうしたの?」

「今初めて好きって言いましたね」

「あれ?そうだっけ?」

「そうですよ…いつも物になれって」

「……ねぇ、君はいつになったら俺のこと想ってくれる?」

物についてはスルーなのか。
きゅっと両手を取り、
少し屈んで私と目線を合わせるイルミさん
顔が近くて不覚にもドキッとした。

「…あ、の……」

「顔赤いよ?」

「うるさいです!わ、私は…イルミさんの…こと、す、好き…じゃないです…!」

目を見て言う。
私はイルミさんのこと好きじゃない、

好きじゃない、

好きじゃないんだ、


「じゃあ何で泣くの?」

「…え?」

言われてから頬を伝う涙に気づいた
一生懸命だったから気づかなかった
右手を離し、私の涙を拭うイルミさん

「俺のこと嫌いなんでしょ?」

「………」

そう問われると涙が溢れてくる。
嫌い…
頭では嫌いって思ってるのに、
思えば思うほど、それを否定するかのように涙腺が緩む

触れてる頬が熱い

「……キュートだ」

そのセリフはどうかと思う
そう伝えれば「そう?」なんていつもと変わらない表情のイルミさん。


「ごめん、抱きしめていい?」

さっきのセリフなどなかったかのようにサラっと私を抱きしめる

「………いいっていってないです…」

私の言葉をスルーし、
ぎゅぅうっと力強くだけど優しく、
イルミさんが私を包み込む。

トクトクとお互いの心拍が揺れる

「これ以上はやばいかも…」

ぼそっと呟く言葉に理解できないまま
私とイルミさんの間に距離が開いた

「え………、…あ、なななんでもないです!」

クスクスと笑う彼

「もっとくっついてたかった?」

「ち、ちが…………………」




そこまで言って、
ここでまた意地を張ったら私は変われないと思った。
たまには素直に、

「……ちが、くないです…」

本音を言った。

「…………」

せっかく勇気を振り絞ったのに、彼は黙ったまま

「な、んで黙るんですか……う、もうやだ…」

やっぱり素直になんてならなきゃよかった。
両手で顔を隠してたらその手を無理矢理はがされた。
やけに顔が近い

ふにっと唇に感触

「?!」

「ごめんね、だけど我慢できなかったみたい」

我慢できなかったみたいって…………

「そういうのはちゃんとつき合ってからにしてください……」

「ふーん、その言い方だと付き合ってくれるってことになるけど?」

「……」

否定しないってことは君は今日から俺の彼女だ。なんて嬉しそうなイルミさん。


好きという言葉を無理矢理言わされるのはそれから10分後のこと。

さらっと攫って


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