ねえねえ、あのね


放課後、生徒会室で忙しそうに書類チェックをする男が一人。早く片付けて部活に行かなければならない。傍には樺地と紫帆が手伝っている。

「樺地、そろそろ終わりそうだから先に行ってウォーミングアップしておけ。いねえとは思うがサボってる奴がいたら叩き起こせよ、特にジロー」
ウス、イエスマン気味な彼はすぐさま部屋を出ていった。紫帆は部活に所属していないので最後まで手伝う。どうせ一緒に車で送迎してもらうのだから暇な時間は短い方がいい。



「ねえねえ」
「なんだ、わからないやつはこっちに置いとけ。最後にまとめて確認する」
勿論紫帆は手を止めず声をかけたのだが跡部はこちらを見もせず答えるのには少なからずがっかりする。
「あのね」
めげずにもう一声。跡部は紫帆の声のトーンで仕事に関係ないことだろうなと予想はついていた。仕事は出来るが喋りが多いのは女だから、それとも紫帆だからか。
「悪いけど作業外のことなら帰るときにーー」


「好き」


ほんの一瞬、顔をあげるとパチりと目が合い、この一言。

「ばっバカ言ってんじゃねーよ急いでるっつってんだろうが!!」


何と脈絡のない会話。狙っているとしか思えない可愛さは、他の女ならうんざりするところだがどうしても紫帆には怒れない。紫帆は本日の跡部プチドッキリが見事成功に終わり満足そうに耳の赤い彼氏に笑った。



20130407
呟きを見ていたら可愛い顔文字を発見したのでそれをヒロインにやらせてみる。


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