姫狙いは一人じゃない



「おはようさん」
「え、何で馬乗り?」



私は普段寝起きが悪いことで有名である。その私の本日第一声がこんなにクリアに発音されるとは誰が思ったことだろう。だが問題はその言葉そのものである。



「こうして遠くから見るとまるでヤッている最中のようじゃろ?」
「やめろ!!!」
絶賛乗っている人物……仁王は当然のようにニコニコと告げる。
現在私はマネージャーとしてテニス部の合宿に来ており、その一日目を終えた朝のはず。女子は一人ということで、きちんと一人部屋を貰い、鍵もかけたのに。
くそ、びくともしない。



「まあ、私も起きたことだし諦めてどこうか」
「空が青いのぉー」
「あからさまに話題を逸らすな!」

「おはようございまーす! 紫帆先輩朝っすよ!!」
妙に元気な赤也がノックもなしに入ってきた。そして馬乗りになってる馬鹿を見て「失礼しました!」と猛ダッシュで逃げていった。





「待って赤也! 誤解だし助けて!!」
「まあそう照れなさんな。公開プレイもよかろ?」
「そろそろ本気で怒ろうか」




結局幸村君がイップスで馬鹿を鎮めるまでこの屈辱は続いた。


姫狙いは一人じゃない


20110830


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