氷帝名物


「鳳君、亮ちゃんどこにいるか知らない?」

昼休み、チャイムとほぼ同時に用事があると言って教室を飛び出した宍戸を探す紫帆。弁当は毎日紫帆が作ってきているため、渡さないと昼ご飯抜きになってしまい、そうなると放課後の部活で体力が持つはずがない。

「宍戸さんですか? 今日はまだ見かけていません……すみません」
とりあえず部室の辺りを探していたところに出会った鳳に尋ねるが、どうやらテニスの練習ではないらしい。
「ううん、もし会ったら私が探してたって伝えてくれる?」
快く承諾してくれた鳳に別れを告げ、次はどこを探そうか考える。






「亮ちゃん屋上好きだけど、そこまで急いで行く必要もないよね……」
彼は急いでいた、ということは絶対部活関係。部室やコートにはいなかった。ということは……

「あそこかも……」

そうなると無関係な紫帆には少し入りずらいのだが、大好きな彼氏のために勇気を振り絞って大きな扉をノックした。









と同時に、探し人が出て来た。

「亮ちゃん!」
「紫帆?!」
まさかこんなところにいるとは思わなかったのだろう、あからさまに驚く宍戸に楽しくて笑いかける。

「やっと見つけた!」
「なんだ、俺探してたのか?」
「うん、部活メンバーでお昼過ごすなら、お弁当届けなくちゃと思って……」
「そうか。今から戻って教室で食うぜ、迷惑かけてすまねえな」
お前に生徒会室に行くときちんと伝えておくべきだったな、とすまなそうに謝る宍戸に気にしないでと逆に謝りはじめる紫帆を、氷帝キングは無表情で見つめる。





「……あー、盛り上がっているところ悪いが、いちゃつくなら部屋出てからにしてくれ。そこに入られちゃドアが閉められねぇ」

その声にようやく自分がどこにいるのか思い出し、紫帆は焦った。紫帆はテニス部員ではなく跡部様ファンクラブ会員でもなく、どちらかと言えば支配者な跡部が苦手なのだ。

「ご、ごめん跡部君!」
「いいんだよ紫帆、気にするな」
「テメーは気にしろ」
あの跡部に物怖じせず話す宍戸にさらに惚れながら、樺地が閉めるドアをぼうっと見ていた。






そのあとは、手を繋いで教室に戻って、いつも通りに一緒に弁当を食べて。今日も二人はラブラブカップルランキング第一位に輝いたと校内新聞で報じられたとか。



END
サイト初立海以外でのお相手は宍戸さんとなりました。お粗末様でした。
20110909


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