俺だけを呼んでよ


「紫帆、ちょっとレギュラーの名前全員言ってみんしゃい」

マネージャーとして休憩に入った仁王にドリンクを渡すと、いきなりそんなことを言われた。

「え、なんで」
「ええから」




嫌に真顔で頼まれ、まあそれくらいいいかと指を折りながら数える。

「幸村君、真田君、柳君でしょ。
そして柳生にまー君にブン太にジャッカル、切原君。だよね?」

首を傾げる私にいて黙る仁王。
「え、もしかして私名前間違えてた……?」

もしそうだったら今まで私は大変失礼なことをしていた。どう謝ればいいのか。
だが仁王はちょびっと私の方を向くといじけた感じでこう聞いてきた。





「なんで柳生だけ呼び捨て?」
「柳生はよくまー君と一緒にいるからそれなりに仲良くて呼び捨てでも良いって言ってくれたのよ」
柳生は私のことさん付けで呼ぶけど、まあ紳士キャラだし仁王のことも君付けだしそれでいいと思う。仁王もそこはあまり不満じゃなかったらしく、次から声のトーンがワンランク上がった。
「……まあそこはまだええ。
なんでブンちゃんだけ下の名前なんじゃ!」






今日の話の問題点はそこだったらしい。

「え、ジャッカルもだけど」
「ジャッカルは皆同じやし別にええ。でもブンちゃんは許せん! 紫帆が下の名前で呼ぶのは俺だけでええんじゃ!」

ジャッカル少し可哀相。

「えー、でも丸井って呼び捨てにするのもおかしくない?」
「幸村らみたいに君付けで十分ナリ」

あの三強とは本当にマネージャーとしか関わっておらず(学校や休日で会ったりしない)、少し距離が開いてしまっている。だから君呼びなのだが、ブン太とは仁王のクラスに遊びに行ったとき普通に話すし、私と同じでお菓子が好きだから一緒に食べたりする。でも決して二人きりではなく、そこには必ず仁王がいる。





あ、わかった。
「じゃあまー君とお揃いでブンちゃんって呼ぼうかな」


自分とお揃い。その魅惑におされ、これにて本日の議題は解決した。
めでたしめでたし。




END
部活中に休憩とはいえこんなに無駄話してたら鉄拳とんできそう。
20110903


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