コレでしょコレ

閑静な住宅街のとある一軒の家
少し広めの和室に響く複数の声
殺気立つ6人の男たち
彼らの手は、あの形をしている
「「「「「「じゃーんけーん」」」」」」

そう、じゃんけんである

「中々決まらないねぇ」
「そうだな」
「お茶でも飲むか」
「さんせー!!」
弦父さんと二人で縁側に座って
蓮母さんが入れてくれたお茶を飲む
「はーやっぱり蓮母さんのお茶おいしー」
「フ、うれしいこと言ってくれる」
「次は抹茶にしてもらおうか」
「ちょっとまてコラ」


後ろから聞こえた声に振り返れば鮮やかな赤
「お前、やっぱり参加しろ」
「だめだ」
「って弦父さんが言ってるけど?」
「でもこいつだけ一人部屋なんてずりーだろぃ」
そんなブンちゃんにヒロ兄が
「仕方ないでしょう。もうナマエさんも中学生なんですから」
って宥めてくれた

今回の騒動は私とブンちゃんの中学校進学がきっかけ
今まで同じ部屋だった私たちは、
「兄妹といえど思春期の男女が同じ部屋など言語道断」
という弦父さんの一言で部屋移動をすることになった
ところが我が家の部屋数を考えると一人一部屋とはいかず
今まで長男のヒロ兄が使っていた一人部屋を私が使えることになり
残りの男6人で3部屋を使うことになった
今はその部屋割りのためのジャンケン勝負中

「くそ、俺だって一人部屋がいい」
ぷっとほほを膨らませて駄々をこねだしたブンちゃん
(そんなのかわいいだけだけど)
こうなっちゃうと中々機嫌直してくれないんだよねぇ
「…ブンちゃんはまだナマエ離れができてないんか」
「あ?」
後ろから聞こえた声はマサ兄
ニヤニヤしながらこちらを見ているのが気に障ったのか
ブンちゃんは大股で部屋へ戻っていきマサ兄に絡み始めた
これはいつもの風景なので慣れたものだ
(そして二人の喧嘩を止めるのは大体ジャックの役目だ)
(いつもご苦労さまです)
「ほら、早く決めようよ。時間がもったいないだろ」
穏やかな声色は精兄
(でもその背中からはいろいろめんどくさいなオーラが丸見えだったりする)
「そうだよブン兄!!俺早くゲームやりたいんだけど」
赤也君はもう今にも暴れそう

6人がワイワイやってるのを見てたけれど
(…なんかつまんない)
自分はもうすでに決まっているからみんなのやり取りを見てるだけ
…暇すぎる
一つため息をついた瞬間にメールの受信を伝える携帯
見てみれば送信者は幼馴染の周助君から
【姉さんがアップルパイ焼いたんだけど、食べに来ない?】
「い、行く行くっ!」
素晴らしいタイミングでお誘いを受けて
着の身着のまま家を飛び出した
出る間際に蓮母さんからおすそ分けの煮物を託されたけれど
周助君に煮物は似合わないなぁ…
なんて考えながら弾む歩調でお隣へ










(あれ?ナマエは?)
(あぁ、お隣へいったぞ)
(ブンちゃん、気になるんか?)
(うるせぇ)


ちなみに部屋は最終的に
ヒロ兄&マサ兄
ジャック&ブンちゃん
精兄&赤也君
になった
(なんだか赤也君が一番嫌がってたなぁ…まぁ…そりゃそうだよね)
(ん?どうして?)
(だって同室が精に…いやなんでもないよ)
(フフ…)



 




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