だって一緒がいいからさ



小学校とは違う、中学校の魅力とは。それはキッパリと言える、部活動だと。小学校にもクラブ活動はあったけれど、漫画のような部活で青春!なんてものとはかけ離れていたし、目指すレベルが違いすぎる。帰宅部希望の人はなんとも思わないかもしれないけれど、私には興味があったのだ。


ただ、一つ心配だったのが、その部活を自分で決められるかどうかである。


『どの部活にしようかな〜』
「え、テニス部のマネじゃねぇのかよぃ?」

『やだよ!!お兄ちゃん達いるんだもん!!』


そうなのだ。昨日家で部活なに入ろうかな…と、この前配られた部活の一覧が書かれた紙を覗き込んでいたら隣にいつの間にか満面の笑みの幸兄。この顔の時は大体なにか企んでいるから自然に身構えた。

「ナマエは勿論テニス部だよね?」

『え、いやそれは…「え、なに?早くテニスしてるお兄ちゃんが見たい?仕方ないなぁー」言ってない!!』

このまま続けたら、確実にテニス部マネージャーにさせられそうなので、言葉を遮った。いつもなら蓮母さんや、ジャック兄に泣きつくのだが、こればっかりはそうもいかない。


「ナマエがマネージャーか。わからない事があれば何でもきくんだぞ、俺が力になろう」

まずは、マネージャーの仕事内容を…と、ごそごそと謎のノートを漁る蓮母さん。 隣ではジャック兄までもが、羨ましいと言っている始末。
私の家はテニス一家なのだ。皆が皆、とてつもなくテニスが上手いのだ。あの、堅物なイメージの弦父さんまでもが。
そんなテニス一家のこの家で、私がテニスに関係する部活に入ることは必然のような扱いになる。だから、一つだけ言っておこう。


私はテニス上手くない!!



だから、女テニはまず候補に入ってない。比べられるのが目に見えてるから。 それに、自分で言うのもあれだけども、お兄ちゃん達皆かっこいいからマネなんかして目を付けられるのも嫌だ。私は平穏に吹奏楽部とか、ちょっとチャレンジしてみて陸上部とか。ともかくテニス以外がやりたいのだ!!



『もう!部活に関しては好きにさせて!!』



そう言ったのが昨日の夜のことである。現在、教室で一人部活紹介の紙と睨めっこ中だ。ブンちゃんとは昨日から話してない。昨日のマネージャー発言が思えば発端だもの!!しばらくお菓子も分けてあげない!!周助もなんだかんだテニス部だろうし、私の事勧誘しにかかるだろうしなぁ…。今回は絶対自分で決めるんだ!



そう決めたものの、実際入るとなるとどうも決められない。
運動はまぁ得意ではあるけれど、これといって好きな競技はない。しいていうなら、家族のテニスを見るのは好きだ。見るのは!!
これは片っ端から部活見学に行くしかないのかなぁ…


「なに見てるん?」

『え?あっ、しし、白石くん?』

ふと声をかけられて顔を上げると前の空いた席に座って私の机に肘をついて覗き込む。ち、近いよ…!!顔があっつい…!!


「あー、部活案内か」

『白石くんはもう部活決まってるの?』


スポーツやってる白石くんかっこいいんだろうなぁ… あ、でも文化系でも知的な感じかな、なんて。勝手に想像していたら、ニコッと笑顔の白石くん。



「俺は決まっとるよー、テニス部に入んねん」

『………え?』


今、なんと?


「テニス部に入部するって決まっとるんよー」



え、えええええええ!??


白石くんまでテニス部?!なんなの、私の周りにはテニス部しかいないわけ?!!頭の中は大混乱だ。そんな私に気付いてないのか、白石くんはなおもニコニコ笑顔。

「ナマエちゃんは?なんも決まっとらんの?」


『え、いや…「俺の家族皆テニスやってるんだよぃ!!」え、ちょ!ブンちゃん!?』


いきなり話に割り込んできたブンちゃん。しかも何話してるの??! 白石くん、へーなんて言ってるじゃない!!


『怒るよブ「じゃあナマエちゃんテニス部のマネやらん?」へ……?』


いま、なんと?



「テニス部のマネージャーやらん?俺、ナマエちゃんいたらもっと頑張れそうや」


キラッキラの笑顔でそんなことを言われたら、私の心臓はもうバクバクで。


「どう?」

『…わ、私マネージャーやりたいな!!』


……我ながら、とっても現金なヤツだな。と思いました。
でも、全ての行動の裏に精兄が関わっていたことには気付きませんでした。



兄の策略


(ブン太、石の奴テニス部入るみたいだからなんとかしてナマエに入らせるよう説得しろ)(ヒィイイイ!!)











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