愛のムチだ

コンコン
「失礼しまーす」
「おぉ、ナマエさん」
「あ、大石先生」

放課後に教室にあった先生の忘れ物を届けに職員室へ来たら
大石先生に会った
「あの、国光おじ…じゃなかった、手塚先生はどちらにいますか?」
「あぁ、手塚なら今は国語科準備室にいるよ。にしても…」
あんなに小さかったナマエちゃんがもう中学生か…
なんて思い出に浸ってる大石先生に苦笑いが漏れた


実は国光おじさんと大石先生もとい秀おじさんは弦父さんのお友達だったりする
(中学生からの知り合いらしい)
だから小さいころ…それこそ私が生まれた時から二人は私の事を知っている
昔はよくうちに遊びに来たりしてたもんなぁ…
弦父さんと将棋勝負とか
(たしか勝敗は58戦25勝25敗8分けとかだった気がする)
釣り勝負に行ったりとか
(競い合ってやたらお魚とってくるから蓮母さんが一回キレたことあったなぁ)
(もちろんどっちも秀おじさんは審判)
だから入学式の時の担任発表で国光おじさんが担任だってわかったときは本当にびっくりしたんだよね


大石先生にお礼を言って国語科準備室へ向かう
放課後ということもあって、校舎内にはあまり人は居ない
外から聞こえる部活の声が校舎まで響いてくる
ブンちゃんも今頃がんばってるのかなぁ…
同じ部活の精兄とマサ兄にしごかれている自分の相方を想像してみる
(甘いもの欲しがってるんだろうなぁ…)
(それで精兄に怒られたりしてて)
くすり、と笑いが漏れた



コンコン
「失礼しまーす」
「どうぞ」
扉を開けると目に入るのは大きな本棚
たくさんの難しそうな本が並んでいてなんとなく圧迫感がある
その奥にひっそりと一つだけおいてある机に
声の主はいた

「手塚先生、教室にペン忘れてましたよ」
「…あぁ、済まなかったな」
こちらを振り向いた手塚先生に教卓に置いてあった立派なペンを手渡す
ちらりと見えた机には作りかけの難しいプリント
「どうした?」
「…うぅ…全然わかんない」
「これは3年の問題だからな。仕方ないだろう」
「でもあと2年後にはこれやるんでしょ?解ける自信ない」
「お前には教えてくれる人がいっぱいいるだろう」
かさり、とまたプリントに向かってしまった手塚先生
そんな先生を見ていたずら心がむくむくと

「じゃあ今日さっそく宿題出たし、教えてもらおうかなぁ…国光おじさんに!」
にやりと笑いながら言えば小さく吐かれたため息
「俺は一応担任だぞ。お前だけに特別授業はできな「国光おじさんにお願いしてるんだけどな」
にっこり笑顔を顔に貼り付けてお願いすれば今度は大きなため息
「…わかった、教えよう。」
「わーい!!」
これでテスト前でも大丈夫だね!!
「ただし」
「ほへ?」
ちらりとこちらに視線を向けて口元を緩ませながら
「俺の教え方は厳しいぞ」
…ちょっと、教えてもらう人間違えたかも…







「おーいナマエ、迎えに来たぞー」
「あぁ、悪いな」
「ぶんちゃあああああああああああああ…」
「…どしたのこれ」
「勉強教えてほしいというから教えていただけだが?」
「うぅ…丁寧だけど間違えると怖いし無言の後のため息が重たいよー」
「なんだって手塚先生に教わってんだよ。考えりゃどうなるかわかるだろ」
「聞こえてるぞまったく」



放課後
スパルタ教室
開講



((明日からは秀おじさんに教えてもらおう…))
(宿題出すから明日までにやってくるんだ)
(えぇ…!!ここでも宿題…?!ていうか明日もやるの…)
(…しーらね)
(はっはっは!こりゃタイヘン)
(秀おじさん…)
(((居たの)か))
(え、ひどくない?)




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