本音はそっと心の中に隠して、掠れた声で背中を押す。
あたしの中の悪魔は、告白しろだなんて残酷な言葉を吐いているけれど、そんなことできるわけない。
出来てたら、こんなことにはなってなかった。
「ゆーた。」
「ん?」
「…早く行け、アホ。」
泣いて縋れば変わったかもしれない。
泣き喚いて告白したら、振り向いてくれたかもしれない。でも。
「ゆーた。」
「なんだよ、何回も。」
それを望んでないから。
そんなの、望んでないから。
「美香さん、呼び出してるなら早く行かないと帰っちゃうよ。」
「ぎゃ?!それは困る!」
「なら、」
__早く行け、バーカ。
行ってくる、と私に笑顔で手を振って去っていく後ろ姿が涙で滲んで霞む。
「…何が美香、だよ。」
あたしのこと、好きって言ってよ。
隣にいてって、言ってよ。
言ってくれたら、ずっとそばにいるのに。
「…バカ」
小さくこぼした本音は、涙に邪魔をされ、涙は校庭から聞こえる冷やかしの声にかき消された。