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08



「お、帰ってきた」

「やつれた顔してるね……」

ベルフェゴールさんとマーモンさんの声に耳がピクッと動いた。

あぁ、あれは本当に死ぬかと思った。

あれで動揺しないテンプレヒロイン、メンタル鋼かっつーの。

「それで、結局どうなったのだ?」

「あ、なんか仮入隊と言う形になりました」

レヴィさん顔赤っ、何だ何だ熱引いてるレベルだぞ。

私が可愛いのは分かったから顔を平常に戻して下さい、なんて嘘です死にますごめんなさい。

なんかこれ言い回しになってる気がする。

「仮入隊かぁ"、他にはなんか聞いたか? 任務とか」

「一ヶ月後に任務を下す、とは言ってました」

「というか敬語やめろ、一般人の女に敬語使われるとかなんか気色悪い」

ガーン、それ地味に傷つくんですが?
まぁ一般人の女ってのはあってるけど。

それにしてもルッスーリアさんがまだ帰ってこないな。

全員の幹部の人と話してないし。

「あの、幹部の方はこの4人の方だけ?」

「ん? あー、あと1人いる。オカマ」

「え、オカマ……?」

なんて言ってみるが知ってる、確か筋肉のついた男の屍体収集が趣味なんだっけ。

なんか部屋の話を少し見たけどなんか飾ってあるらしい、おぉ恐ろしい。

「つかルッスーリア遅くね? もう結構経ってんぞ」

ベルフェゴールさんのその声に応えるように窓からご丁寧にも鍵を外し戸を開けて入ってきた。

「一時間前に終わってるわよ、でも良い男がいっぱいいるか……誰?」

「か、仮入隊している帆風 ハルカです!」

さっきベルフェゴールさんに敬語無しと言われても初対面でいきなりタメ口は失礼だよな。
他の人はすんごいやってるけど。

私の全身をジロジロと見る。
なんだ? と不思議に思ったがそうだ私ルッスーリアさんが作った服着てたんだ!

「あ、あの、勝手に着ちゃってごめんなさい!!」

「あらジャッポーネの子? それも別に良いわよ。それにしても貴方……可愛いわね」

「え? いや、あの、ありがとうございます……」

なんかどう返していいか分かんないな。

失礼だがルッスーリアさんオカマだから女にまるで興味なし! どっか行ってろ的なタイプだろーなと夢小説見ながらブツブツ言っていたことを思い出す。

だがその思いも今では崩れ去り気さくな人だなと、意外にも好感を持った。

「仮入隊ねぇ、正式に入隊するのであればヴァリアーのコートを渡すんだけど。そうなると私服だけどないわよね?」

「あ、最初着てた服以外なにもないです」

「あら、じゃあ何でこれに着替えたの?」

ヤバいその話を振ってしまった!

二人は少し頬を赤くしながら知らんぷりでそっぽを向いた。

「あ、薄着だったんで寒くて……。本当すみません!」

なんか凄い罪悪感だ。

「別にそれは気にしなくて良いわよ、さっきも言ったじゃない。服はどうしようかしら、取り敢えず今すぐ部下に服を買いに行かせるわ」

服のサイズは? と聞かれ160ですと答える。

ポケットからケータイらしき無線機を取り出し、多分部下? の人達と話しているのだろうと少しだけ会話を聴いてしまった。

ルッスーリアさんはふぅ、とため息をついて私の方にくるりと回って目を合わせた。
っと言ってもサングラスで目は見えないが。



「これかれ30分以内に服を五着位買わせるように部下に伝えたわ」

「え、良かったのに……スミマセン」

「良いわよこれ位、あと敬語やめて私の事は親しみを込めてルッス姐と呼んで頂戴♪」

「わ、分かった、ルッス姐!」

若干引き気味の四人の表情をチラチラと見ながら冷や汗をあく。

「それにその格好で寝るのはキツイでしょ」

「あ、そうかもしれません。というか私隣の物置き場で眠くますんで」

「あーら遠慮しなくて良いのよ、部屋は私の部屋に来れば良いわ」

あ、確かにルッス姐はオカマだし女に特に恋愛的な感情感じないしこう言う姐さんまたいな呼び方してるし良いかもしれない。

それで構わないです、と言おうとしていた時突然マーモンさんの遮ぎが入った。

「やめときな、そいつの部屋は屍体だらけだよ」

「し、屍体?」

そ、そうだったー!

部屋にわんさか男の屍体飾ってあるんだったぜ。
危ない危ない、テンプレだとスクアーロさんかベルフェゴールさんの部屋に泊まって一緒のベットで寝るんだよな……。
それか部屋を1日ごとに変えて寝るとか。

そんなフラグいらんわ、身が持たん。

でもこの中で一番まともなのって案外レヴィさんだよね。

「じゃあ、レヴィさんの部屋で寝ます」

一同の身体が止まった。

「お、俺は構わわないいいがあ」

噛みまくってんぞおい。

それにしても皆動揺してんなー、襲われないって。

「な、何でこいつなんだあ"!?」

「君この顔が見えないの? 正気かい?」

「俺の部屋こいよ!」

まさに逆ハーレム!

何という至高、夢小説ヒロインはこんなにも良い気分だったのか。

やはり人間だもんな。

取り敢えずまともな言い訳を言っておかないと。

「失礼だけど、スクアーロさんはイビキうるさそうだし、ベルフェゴールさんは何となく危なそうだしマーモンさんの部屋はお金の匂いで充満してそうだからです」

私が論破するように言うと、三人は少しうなだれた。

なんてレアな構図!

「というか、何で僕の部屋が金まみれな事知ってるんだい?」

「え? いやなんか来た時も札束数えてたし、マーモンそん自身もお金くさいし……」

「ムム、鋭い判断力だね」

つっても原作からの情報だけどね。

てか普通に分かると思うけど、そんな大金抱えてるんだから。

「では、俺の部屋に__」

「させねぇ!」

「こいつ俺の理由が理屈通ってないんだけど……」

カオス、としか言いようがない。

あ、カオスと言えばリボーンの大人時代には良くカオスって使ってたんだっけ。
なんとなく思い出した。

今ではカ行言えなくなってチャオっすになってるけど、というか普通にカ行言ってますよね?
それとも最初は言えなくてそれで定着したのかもしれない、なんて言う場違いな発想をする。

「あ、」

「まさか……」

な、何だ? 皆静かになったぞ?

あれ、なんかさっき味わった禍々しいオーラに似ているものが近付いてくる?

もしかして、ボスう!?

うるさかった!? いやうるさかったか!

いやああぁ、殺されるううぅぅ。

「うっせぇぞカス共」

身体の震えが止まらない。

怒ってる! 絶対的に怒ってるぞコレ!

「す、すまねぇなボス」

「何を争ってやがんだ?」

「ハルカちゃんの寝床がないから、どこの部屋で寝るかって言ったらレヴィの部屋で寝るっていうかきら皆がうるさくなっちゃったのよ」

ボスの眉毛がぴくりと動いた。

「レヴィの?」

それに反応したのかレヴィさんが至福の表情をしていた。

まさか名前呼ばれたから嬉しんでるのか?

やっぱり、へ、変態変人ばっか!

「外のドブの中ででも寝てろ」

そう言い残しまたコートを翻してツカツカと部屋に戻っていったボス。

そ、外のドブの中で寝てろって……酷い!

そういう性格ってことは分かってたけど、やっぱなんでここに落としたんだあのネズミ!

並中に落としていればまだこんな恐怖の感情を持たなくてすんだのに。

「外のドブって……」

「ボスあーいう性格だから気にすんなよ、だから俺の部屋で寝よーぜ」

ベルフェゴールさんに手を肩に回された。

わ、こんなに男の人と接近したのって初めてだ。

前世込みで、彼氏居ない歴=年齢だし私。

「まあ取り敢えず明日には部屋が出来るから、今日はベルちゃんの部屋で寝なさい」

「わ、分かったよルッス姐」

ルッス姐、その言葉に気を良くしたのかルンルンとしながら部屋に着替えに行ってしまった。

「んじゃ、さっそく俺の部屋行くぞ♪」

「う、うん」

手を肩に回されたまま二人で部屋を出た。

(どんな部屋なんだろ)




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