01

席替えがあった。

朝学校へ行くと黒板にでかでかと「席替え」と書いてあったのである。
教師が来てベタな四角い箱から番号が書かれた紙をひき、黒板に貼られている座席表と照らし合わせ、新しい席へ座った。
オレは窓側と言うこの時期になるとそろそろ日差しが強くなりあまり良いとは言えない席だ。
オレの前後左右はまだ誰も座っておらず友人達がどの席へ座るのか見守っていた。
歓声や悲鳴でざわざわしていると、先生の声でようやく全員が新しいへ座った。
オレの目の前には眩しい金色。光に反射してとても綺麗だ。まるでどこかの写真から抜け出したみたいに。
隣の列の女子はみんなそわそわしているし、後ろから「目の保養になるわー」などと言う声も聞こえる。
と、同時に「苗字くん邪魔」「もうちょっとかがんでくれないかなー」など言う聞きたくもない声も聞こえた。

オレの目の前は、入学式から全学年で話題が持ち切りの黄瀬涼太くんが座っているのだ。



「おい、名前!お前も可哀相だなあ」

「まさか席替えしただけで女子から目の敵にされるなんて…」

「…うるさい」


休憩時間になるたびに女子から恨み言を聞かされオレのライフはゼロだった。
今はお昼休みで、友人たちと食堂へ逃げ込んだ。


「あの黄瀬の後ろの席になれたんだから名前も少しはイケメンになれるといいな!」

「黄瀬のイケメンオーラは本人以外使いこなせねーよ」

「イケメンは得だよなー」

「オレもイケメンに生まれたかった…」

そう。イケメンは得なのだ。黄瀬みたいに顔が整って身長があれば黙っていても女子が寄ってくる。少し微笑めば虜にできる。
オレ達のような平凡とは住む世界が違うのだ。

「モデルでバスケ界で有名人とか住む世界が違いすぎるよなー」

黄瀬は中学生の時バスケ界で有名だったらしい。キセキの世代と呼ばれ雑誌でも特集されていたと言う話を聞いた。
高校に入学してすぐレギュラーになるほどだから相当上手いのだろう。
帰宅部のオレには関係ないことだが。
そんな話をしているとあっという間にお昼休みが終わってしまった。


午後は疲れ果てて気付いたら家のベッドだった。
こんな生活が次の席替えまで続くなんて、今まで黄瀬の近くだったクラスメートを尊敬してしまう。

明日も憂鬱だ。










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