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- ナノ -

名頃会のみなさん
(ご飯ネタ多いです)
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初詣

「先生、明けましておめでとうございます。今年も宜しゅうおたの申します」
「……おめでとう。今日は小紋着てるんやな」
「ええ。ほんとうはお家で新年のご挨拶があって、振袖着てたんですけど重たくてこっちに……。もしお忙しくなければ、初詣へ行きませんか?」
「……」
「せんせ?」
「いや……」
「……どこか、おかしいです?やっぱり無地は少し地味やと思たんですけど……」
「そうやなくて。ふだん見慣れとると思てたけど、お稽古着とは違うんやなあ。別嬪さん」
「べっ…!?」
「うん?昔はそう云うたら喜んではったのに。初詣行こか。どこがええかな」
「本当は夜の八坂さんに行きたかったんですけど…。せんせのおうちなら、おけら火を歩いて持って帰れますし」
「夜遅い外出は親御さん心配しはるわ、しゃあないやろ」
「分かってます。だから今日は清水に行きたいです。せんせといっぱい歩きたい……」
「その草履で長う歩けるんか」
「そう言わはる思て、ブーツ持ってきてます」
「準備万端やな。……分かった、すぐ支度してくる」
「――でも、いつか、せんせと大晦日の八坂さんに行きたいので……。忘れないで、覚えていてくださいね」
「……君が覚えてる限り、俺もきっと覚えてるわ」
追記


チーズトースト

「お茶貰てええ?」
「先生、お客様ですか」
「大岡くんが来てる。練習無いのに間違えて来てしもたらしいけど」
「紅葉ちゃんが?すぐ持っていきますね」



「おまたせしました。紅葉ちゃんはお紅茶でええ?」
「うん、おおきに」
「ん?これ、……」
「もうすぐお昼の時間ですし、お二人共お腹すいてはるかなあと思って……チーズトーストです。温かいうちにあがってください」
「せやけど、これ二人分やろ。君のぶんは?」
「余ってたパンが二人分で。私は一度家に戻って食べたらええですし……」
「三人で分けて食べたらええんと違います?これ半分にして4切れにしたら」
「そうすると、紅葉ちゃんと先生のぶんが少なくなっちゃうけど」
「大岡くんの言うとおりや。あんまり腹いっぱいにすると集中出来へんやろ。丁度ええ」
「……ああ!練習……。なら、私は読手をしましょうか」
「……名頃先生が読んでくれはっても……?」
「俺は読むんは苦手や」
追記


かぼちゃ

「名頃先生、玄関にこれ置いてもええです?」
「大岡くんたち来るん早いなあ。……オレンジのかぼちゃ?」
「今日は職員会議で学校早く終わったんです。紅葉ちゃんの学校も校内のワックスがけがあって早帰りです。……このかぼちゃはもうすぐハロウィーンなので、鹿雄先生のお家に飾りたいなあって思て貰てきたんですけど……」
「別にかまへんよ」
「よかった!紅葉ちゃんと目と口くり抜いて可愛いかぼちゃ作りますね」
「まあ、何でもええけど怪我だけはせんように……。刃物使うときは俺か関根くんか伊織くんの──大人の居る所でしいや」



「で、僕見てたらええの」
「名頃先生が大人の居る所でしなさいって云わはったから……」
「関根さんも作らはりますか」
「僕も?うーん、じゃあやってみよ。中スプーンでくり抜いてここに目と口描いて切ったらええんやろ。簡単簡単」
「関根さん器用やわ。ね、紅葉ちゃん」
「……ほんまに。こんなに硬いのに……」
「僕実はこういう作業好きやから。君等のもナイフ使うところは僕がやるからこっち置いといてや」
「……あ、関根さんと紅葉ちゃん。くり抜いた中身ここに置いてくださいね。後で使います」
「……これ食えるん?」
「食べられる種類のかぼちゃなんです」



「あっ鹿雄先生丁度ええところに。ちょっとお台所寄ってくれませんか」
「ん?」
「今日はかぼちゃのクッキーをお出ししようかと思うんですけど……一寸味見して頂けませんか」
「かぼちゃ………」
「先生、お嫌いでしたっけ」
「いや。これ玄関にもう飾ってあるかぼちゃの?」
「ええ。中身捨てちゃ勿体ないのでお菓子にしました」
「あのオレンジの皮のかぼちゃ、食えるんやなあ……」
「騙されたと思って一口どうぞ」
「……うまい。もう一枚」




お誘い

「先生、折り入ってご相談が」
「どうしたん」
「同じクラスの男の子から、お手紙を頂きまして」
「……うん?続けて」
「今度、二人でお出掛けしませんかということらしいんです」
「何処に」
「映画館です」
「映画館」
「私が観たいと思っていた作品なんですけど……、でも誘ってくれはった子とはあまり話した事無いんです」
「成程なあ。で、君は行きたいんか」
「映画は観たいんです。でも二人やと……。先生やったらなんてうまくお断りします?」
「まあ……君のことはよう知らんから二人では行かれへん、とでも言うかな」



「件の坊はどうや。諦めたか」
「それが……自分の事を知って欲しいから、今度ここに来るから飛び入りでかるたさせて欲しいって言わはって」
「はあ?」
「きっぱりお断りします」
「……いや、ここ連れて来てみ」
「ええんですか?」
「かまへん。経験者やろ」
「はい。私の学校のかるた部に今年から入ってきましたから……」
「ほお。それやったら俺が稽古つけたろ」
「え?先生がですか?私がしてもらいたいのに……」
「君はいつも稽古しとるやないか。おかしな事言う子やなあ……」



「鹿雄せんせ。この間来た例の方ですけど……お誘いは無くなりました」
「そらよかった。……そうや、君にこれやる。大岡くんと二人で行ってきたらどうや」  
「これ──行きたかった映画の前売券です……!先生どこでこれを?」
「ツテで貰た」


追記


金魚

「鹿雄先生、靴箱のうえに居る金魚は……」
「ああそれ、近所の子がこの間の祭で取ったらしいんやけど、親御さんが飼ったらあかん言わはったらしくて……俺が飼うことにした」
「それは……。水槽は先生がご用意なさったんですか。ご立派ですけど」
「うん、納戸の奥にあったのを洗って──ふふ、一匹に贅沢やな。金魚、可愛えやろ」
「ええ、とっても。そういえばお名前は?」
「名前?ついてへん」
「お名前が無いんですか」
「つけてあげたら」
「はい!……あ、近付いて呉れた」
「餌あげといて」
「分かりました。……良かったね、先生が飼うてくれはって。大きいお家に住めて」
「君の家は何か飼うてるんか」
「いえ、生き物は一度も……。なので、ご迷惑でなければこうして餌をあげたり、たまにはお掃除させてもらえたら嬉しいです」
「そらかまへんけど……近いうち、この子の友達を何匹か買いに行こうと思てて。君も行くか」
「ええ、行きます!」
「増えたら、また君が名前をつけて──似たのばっか居ったら見分けつくかな」
「つきますよ、きっと」





名頃先生と夢主が、名頃先生の師匠(皐月さんの後に教わった人。名頃会創立直前まで名頃先生が入っていたかるた会の会長。もちろん捏造です。)の葬式に行く直前のSSSです。
追記


躑躅と皐月

「はあ、この店、皐月が綺麗に咲いとるなあ」
「多分これ、躑躅やと思います。もう少ししたら皐月のほうが咲き始めますけど」
「詳しいなあ」
「家のお庭にあるんです。春に咲いて花が大きい方が躑躅って言いますけど、最近はそうでもないみたいなので、もしかしたら違うかもしれません……」
「いや、躑躅って書いてある」
「間違っていなくて良かったです」
「躑躅の方が花が大きゅう見……、花が落ちた」
「あっ」
「む、毟ってへん。一寸触っただけや」
「分かってます。花ごと落ちるので」
「そう……」
「……鹿雄先生?」
「似合うなァ」
「?」
「おっこの花、虫住んでた」
「根元に置いてあげてください」
「うん。……ここ、喫茶店やろ。折角やから何か飲んでいこか」
「わあ……!嬉しいです!」
「水出しコーヒーがお勧めやって」



桜の花びら

「わ、名頃先生のお庭の桜、散り始めてる」
「一昨日の夜の雨のせいかも……。お家にも桜の木あるって云うてなかったっけ」
「去年枝に虫がぎょうさん出たから云うて、切られちゃって……」
「下の方ならまだ少し咲いてる──紅葉ちゃん。地面に落ちる前の桜の花びらを3枚掴めると、恋が叶うんやって」
「え!ほんまに?」
「うん。やってみよう」

「とれた!」
「紅葉ちゃんすごい!私あと1枚」
「あれ!取れそう!」
「ほんと!…あっ」
「これか?」
「しかおせんせ……」
「名頃先生!あきません!花びらは自分で取らないと叶わ──」
「はあ、叶わへん?……その肩に乗っている花びらでもあかんの」
「あ……これ……」
「肩で取ったらあかんって決まりはあらへん。良かったね!3枚目!」 
「良かったなあ。じゃあこれは捨……」
「あ!それもください」
「4枚になってまうけど」
「いいんです」



本棚

「先生の本棚には、昔から本がぎょうさん有りますね」
「読みたいもんを買うてたら増えてた。この家に住み始めたときはこの本棚もからやったのになあ」
「全部読まはったんですか?」
「……どうやろ。ここは積んでそのうち読もう思てたかな。この辺は読んだ」
「わ…埃が凄いですね」
「ほんまやな。はたきでもかけとこ」
「私がかけておきましょうか」
「そう?任せてもええか」
「先生は他の事しててください」
「じゃあ、お言葉に甘えて」


「大体落としたけど、上の方が……」
「お、みちがえたなあ。」
「から拭きして、平積みのところは立ててしまいましたけど……」
「かまへん。助かったわ。あの辺りは流石に届かへんかったやろ」
「ええ、上は今から踏み台を持って来……あっ」
「これで届かへんか」
「鹿雄先生?!私ごと持ち上げなくても……!」
「──おお、やっぱり大きゅうなったなあ」
「背が伸びましたから……」
「いやあ流石に持った感じも……こう、重なって成長を感じ……うわっ!埃落ちてきた」
「す……すみません。少し手元が」
追記


駆除

鉄板の虫さんのネタ。
自己責任でご覧ください。

追記


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