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部誌2感想

2012/11/03 01:43

☆全体の感想
 何というか、色々と、すごいです。
 表紙や扉絵はどれもこれもが綺麗で、素敵で、遊び心に溢れていると思います。表紙のティーボーイとティーガールの愛らしさにノックアウト。切手が部誌1の絵だと気付いてにやり。
 扉絵の細かさに驚愕して、わくわくしながら部鳥や茶器を探しました。
 そして、話全体を繋げるティーボーイとティーガールの物語。
 きらきらとしていて、優しくて、甘酸っぱくて、ほろ苦いです。
 初恋の行方は悲しいけれど、二人の心にきっと残るはず。
 こっそりと暗躍していた魔王様に驚かされました。下克上の道のりは遠い。

☆最期の茶会(Ag様)
 彼の過去は「雑草の様な」渋い味。
 垣間見えた過去以外にも辛い事があって、絶望して、そして死に場所を求めて来たんだろうなあ、と思いました。
 けれど、未来はまだ分からない。
 絞られたオレンジの様に、何かをきっかけにして彼の未来が広がって、深みを織りなしていく事を祈りたくなります。「青い空が恋しくなった」というフレーズが、心にのこりました。
 そして、彼がいなくなってからこっそりと明かされた魔女の手品。
 最後の魔女の言葉がしっとりと心に染み渡って、温かな気持ちになりました。

☆メモリアルブレンドティー(トダ姉様)
 不思議な旅人、ハルさんの裏路地カフェ。
 老若男女、貴賤に関係なく、誰にでも与えられるお茶。
 温かくて、優しい笑顔のハルさんに癒されました。
 ハルさんの笑顔に、素敵な裏路地カフェにやってくるのは、人だけでは無い。
 他の人には見えない「お客様」にも笑顔でお茶を振る舞うハルさんに、ほっと息をつきました。
 空気が色づく様な、心をぎゅっとわしづかみされる絵でした。

☆Cifrado Libro Apocalipsis 〜Oswald〜(雪本歩様)
 一行目からぐいっと引き込まれて、そのまま最後まで引っ張っていかれました。
 突然死、偽りの歴史、真実、陰謀。
 私の好みのど真ん中に強烈な一撃を叩き込まれました。どうしましょうこの空気が好きすぎて。
 オズワルド様とグスタフさんの言葉遊びやアーレフとの掛け合いが、人をくったようで面白かったです。
 本の描写の細かさに感動。
 物語は謎めいた余韻を残しつつ終わり、もう一つのお話が待ち遠しくなる、そんな物語でした。

☆美術館の至宝(nicco様)
 部誌初の漫画! とワクワクしながら読みました。
 美術館の外観や内装が細かく書き込まれていて、「おお!」と叫びました。
 そしてソフィーアお嬢様が可愛らしくて、したたかで、とても可愛らしいです。
 お嬢様とロニーさんの勘違いに思わず笑ってしまいました。
 そしてエーベルハルドさん、ものすごく好みです。美術館に行ったらお会い出来るかしら。
 美術館秘蔵にして唯一の完成品は、お茶都市の景観そのもの。
 アフターを見てから思ったのですが、お嬢様はこの街を愛しているんだなあ、と心から思いました。

☆亡き王妃の為のティーセット(椎名惠様)
 タイトルを読んだ瞬間に、「優雅!」と思いました。
 盗みを終えた泥棒兄弟の行動も、本当に優雅。でも、掛け合いや言葉の端々から個性や生きている人間らしさが溢れていて、さすが惠様だと思いました。
 「オールデイズ」とティーポットの正体を知った時は、その光景を想像して、思わず溜息。
 日ごとに注がれる、王妃の為だけの特別なお茶。
 夜にだって注がれる、誰にも盗む事が出来ないお茶。
 毎日少しずつ変化していくのだろう、でも変わらずに注がれ続けるそのお茶は、正に王妃への愛の深さ表しているのだと思いました。
 そして鳥料理が出ていた事に、ふきました。

☆Cifrado Libro Apocalipsis 〜Aref〜(雪本歩様)
 歩さんの2作目。
 謎めいた1作目とどう関わっていくのか、ドキドキしながら読み進めました。
 これは前日譚、加えてアーレフサイドでしょうか。
 元気なラナーさんがしっかり者な印象を受けました。
 相変わらずミステリアスな雰囲気につつまれています。そしてやはりというか何というか、私の好みど真ん中にズバンと入り込んできました。
 それにしても、アーレフ苦労人ですね……。
 愚痴を言いながらも依頼を受けてしまうアーレフの肩を「頑張れ」と叩きたくなりました。
 とにかく、表現力が豊かで圧倒されました。

☆墓守り人(高里潤様)
 冷たく静かに、染み渡る様に心に降り積もってくるような、正に雪が似合う漫画でした。
 月始めベンチに腰を下ろして今は亡き「あの方」とのお茶会をする老紳士の姿に、ぎゅっと胸をしめつけられました。
 老紳士が胸に抱いていたのは十字架だったのでしょうか? それとも、別の物だったのでしょうか?
 月日を重ねた老紳士だからこそ、その行動と言葉はあんなにも切なくて、穏やかで、深みがある。
 老紳士を見守る女性が何を感じたのか気になりました。

☆青い花と緑の鳥(木元ユウ様)
 幼女と青年です。
 大切な事なのでもう一度言います。幼女と青年なのです。
 二人の掛け合いが本当に可愛くて、思わずにやにや。
 ちょっとおしゃまなアンちゃんと、そんなアンちゃんを構うのが楽しいエルさん。
 つんとおすまししたアンちゃんと執事みたいに振る舞うエルさんの距離感が大好きです。
 アンちゃんを可愛がる叔父のジルさんと、怒りながらもそれをきちんと分かっているアンちゃん。
 「売れないじゃない……」のセリフが可愛らしすぎて、キュンキュンしました。
 そして、さりげなく部鳥が現れている所に、愛を感じました。

☆紅茶図書館(伊佐雄様)
 一コマ目の、ずらりと並ぶ棚に言葉に出来ない威圧感を覚えました。
 ベレニッツィさん、迫力満点です。絶対人じゃない。
 古今東西のお茶の歴史、製造方法。お茶の全てが、ルワダ紅茶図書館には詰まっている。
 そして、それをベレニッツィさんが全て把握している。
 ……本当に何者なんでしょう、彼。
 私が受け取った運命の茶葉は、どんな形をしているんでしょうか。どんな色で、どんな香りで、そしてどんな味をしているのでしょうか。
 それはもう心の中にあるような、無い様な。
 思わず真剣に考えさせられました。

☆ミルク(沙ク様)
 謎の青年シモンさんは、本当に、何者なんでしょうか……。
 ヴェロニカさんが可愛いです。ミルクティーを両手に持ってシモンに向けた笑顔が天使です。
 ヴェロニカさんにとっては、シモンさんは一体どんな存在なのでしょうか。触れる事の出来ない、でもたしかにそこにいる、そんな彼は、ヴェロニカさんの中でどう映っているのでしょうか。
 そして、シモンさんが思い出した貴婦人とヴェロニカさんは、何かつながりがあるのでしょうか。
 想像をかき立てられる、ふんわりと優しくて甘くて、すこしだけ苦い物語でした。
 そして、アフターを見て悶えました。

☆星の舟(椎乃みやこ様)
 引き込まれて一気に読んで、そしてラストに茫然として泣きました。
 認めたくなかった事を認めなくてはいけなくて、いつまでも同じではいられないと悟って、そして全てを認めた後に飲んだ紅茶はいつもより苦い。
 「私」と一緒にイヨチを取り戻そうとしていたので、その下りに一気に涙腺が崩壊しました。
 切ないです。
 この切なさも、りんごの紅茶の苦さも、「私」は全て飲み下して、抱きしめて、そして変わっていくのかな、と感じました。
 りんごの紅茶を飲むたびに、この物語を思い出しそうです。

☆ファミリー(鳴加様)
 読み始めてすぐに、「ディーオ様!」と心の中で叫びました。今回は弟子のシャイオン君の話なのですね。
 絶賛ホームシック中のシャイオン君が、おつかい先で見つけたものは、得た物は、きっととても温かい思い出なのだろうと思いました。
 たとえ家族の絆であっても、諦めようとしたら脆く崩れてしまう。けれど、歩み寄ろうとすれば、きっとずっと、繋がっていく。
 そんな事を考えました。
 そして、「あんさん、なずした?」の場面では盛大にふきました。

☆BAR(白象正雪様)
 中国茶を扱うバーとはどんな感じだろうとワクワクして見て、「やだ素敵!」と納得。
 棚が中国テイストで、茶器も可愛らしくて、何より細かくて感嘆しました。
 モノクロが大人っぽい雰囲気を醸し出していて、ドキドキしました。
 オーナーも格好良いですし、常連さんも素敵。
 あんなおじさんが中国茶を嗜むなんて、何というギャップ萌え。
 私がお茶都市に行った際には、夜になったらおめかしをして行ってみたいです。
 
☆音味(神名崎アスカ様)
 ほむろちゃん、可愛いです。会話の中にシェスさんが出ていて、にやにや。
 音味のお茶を飲んでみたくなりました。
 パイプオルガンの音色って、響いて共鳴して、とても不思議で優しいですよね。演奏する人によっても印象を変えるのが楽器だと思っているので、エミリーさんは音色と同じ、とても優しくて温かい人なんだろうなあ、と思いました。
 仲むつまじい夫婦ですから、茶葉に染み込むのは幸せの味なのでしょうか? それとも、エミリーさんがトートさんに向ける、愛の味?
 色々と想像をかき立てられる、優しくて温かい、そしてほむろちゃんがちょっぴり成長する物語だと思いました。

☆十字の香(吟子あゆる様)
 タイトルにどういう意味があるのだろうと読み進めて、最後の最後に納得して、うまいなあ、と思いました。
 ノボノさんが非常にツボです。
 そして、出てくる料理の数々に、思わずよだれが出そうになった物語でもあります。私も鶏のオレンジ紅茶煮食べたいです。
 なかなかその土地に馴染む事が出来なかった茉莉ちゃんが、これをきっかけに少しずつお茶都市に馴染んで、素敵な思い出を作ってくれたらいいなあと思います。
 ノボノさんが入れたのは、工芸茶でしょうか?
 名前と同じお茶をいれた彼は、本当ににくい奴です。優しい。

☆グッバイ、ブルーバード(天都しずる様)
 部誌1にも登場した、ユエさんの旅立ちの物語。
 ユエさん、師匠の元を離れた後はお茶都市にいらしていたんですね。ユエさんがいる間に私もティーレを飲みに行けば良かった。
 親友との別れの物語でもあるのですが、とても爽やかで、軽やかな印象を受けました。ユエさんの「出会いに奇跡は必要だけれど別れに奇跡はいらない」という言葉がすとんと胸に落ちてきて、どこか甘酸っぱい感じがしました。
 そして、堂々と登場する部ちょ……青い鳥。
 幸運の青い鳥は、きっと、ユエの新たな門出を祝福しているんでしょうね。
 秋の空の様に澄み切って、すがすがしくて、ラストにふさわしい物語だと思いました。


 以上、感想でした。
 本当に素敵で、胸に来るものがあったのですが、言い表せない自分の語彙力に泣きそうです。
 与えられるものばかりで、部誌に参加出来た事、とても嬉しかったです。
 



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