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カツ
カツ
廊下を歩く。
いつもの扉が見えてくる。
カツ
カツ
誰か居るようだ。
なら、いつものあいつだろう。
セブルスは見当をつけた。
カツ
カツ
カナリア・イエローは目立つ色だ。
どんなに面積が小さくても、一番最初に目に飛び込む。
カツ
カツ
だから仕方ない。
彼女の異変に真っ先に気づかなかったとしても。
カツ
カツ
少女の輪郭がハッキリしてきた。
ネクタイに沿って上へ辿り、そこではじめてセブルスは立ち止まった。
――涙目だった。
何があったのか彼は悟った。
けれど、なにも言えなかった。
レイはそのまま駆けていった。
そしてセブルスの予想通り、それ以来、二人がドアの前ですれ違うことは、なかった。