▼ 3.ハグ
「…“ハグ”としか書いてないもん。
“私が”やってこいなんて一言も書いてなかったもん」
レイは、どこかの国の大臣が責任逃れするときみたいなスレスレの言い訳をした。
「いや、それは別にいいんだよ」
「それよりもっと大きな問題点がある」
「どこ?」
「…根本的すぎて見えないのか?」
罰ゲームを見届けに来た全員が、同じことを言いたそうな顔をしていた。
「アレはハグっていわないだろ」
「なんで?」
「だって、尻尾爆発だぜ。頭すらない動物だぜ」
レイはそれを聞いて眉をつり上げた。
「尻尾爆発スクリュートはハグしちゃいけないとでもいうの?いつ誰がそんなこと決めたの?スクリュートの権利侵害だわ、動物虐待はんたーい!!」
「いや、誰もそこまでは…」
「じゃあ別にいいわよね?
尻尾爆発スクリュート 1 0 0 匹と、先生が熱いハグを交わしてても」
「なあ、埋め尽くされてて見えないぞ、スネイプ……」
「息できるのか?」
「さあ」
「…レイ、君って意外と無責任だな」
* * *
ちなみに翌日の魔法薬学レポート課題は、全学年通して同じだった。
『ナメクジタイプの魔法動物に効く殺虫薬について、知りうる限りを説明せよ。
なお、尻尾爆発スクリュートよけの効果がある薬には2倍の点数を与える』
…どうやらトラウマになった模様。
End.
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