▼ 好奇心は猫をも殺す
「あるところに、狼がいました。
彼には犬と鹿、ネズミの友達がいて、4人でなかよく暮らしていました。
彼らはいたずらが大好きでしたが、人を楽しませるのがうまく、特に犬と鹿はみんなの人気者でした。
彼らの家のちかくには黒い蛇が住んでいました。
彼はものしりでしたがひがみやで、人気をねたんで嫌がらせをしにきましたが、そのたび彼らはいたずらでからかい、追いかえしてしまうのでした。
ある日、狼はだれかれかまわずおそってしまう病気になってしまいました。
やさしい狼は、この土地を出ていくといいました。
しかし残りの3人は、友達である狼とはなれたくはありません。
『大丈夫、治す方法をさがせばいいんだよ』
『でも周りの人をかんじゃうなんて。みんなに迷惑がかかってしまうよ』
狼のために鹿たちは考え、そしていいことを思いつきました。
町からはなれた古いお屋敷に狼を隠すのです。すっかりさびれたこの家なら、だれも近寄ったりしないでしょう。
あとは一人がお見舞いをしているあいだに、残りが交代で薬をさがしにゆけば、うまくいくはずでした。
しかし、カンのいい蛇だけは、彼らが何か隠していることに気づいていました。
『狼たちめ、また新しいいたずらでも企んでいるにちがいない』
蛇はお見舞いにいく犬のあとをつけました。
そして、病気の狼を見てしまったのです。
『町の人たちに知らせてやろう!これでみんなやつらが嫌いになるぞ』
蛇は町への道をいそぎ、よせばいいのにあばれ柳が生えている近道を通ろうとしました。
ぶんぶんうなる巨大な枝が、蛇におそいかかります。
『うわあ!死んじゃう!だれか助けて!』
その時、だれかがさっとかけより、蛇を助けだしました。
それは鹿でした。彼もお見舞いにきていたのです。
『今回は助けたけれど、ぼくの友達を悪く言いふらすやつはゆるさないぞ』
『ごめんなさい、もう二度といじわるはしません』
蛇は悔いあらためて、狼のために、何にでもきく薬をつくってやりました。
こうして狼の病気はなおり、3人の友達といつまでも仲よく暮らしたのでした。
めでたし、めでたし。」
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