カスミ×サトシ



「……えっと……カスミ、さん……?」

「………………」


この状況でも、きっと気づかないのだろう。
ただ戸惑うだけで、解ろうとすらしていないかもしれない。


「あたし、何度も言ったもの」

「え?」

「何度も言った。なのに、全然わかってくれない」

「カスミ……?」


好き。
そう伝えたのはいつだったか。
勇気を出して言葉にしたけど、返ってきたのは「オレもだぜ」という言葉。
あの時の笑顔は忘れない。
仲間としての意味でしか伝わらなかったこと。
仲間として好きだと返されたこと。


「言ったんだから……」

「カスミ?どうしたんだよ……」


大好き。
そう伝えたのはいつだったか。
今度こそ伝われと込めたけど、返ってきたのは「照れるな」と、全然照れてないような態度。
あの時の笑顔は忘れない。
仲間としての絆が深いからこそ、彼は言葉に込めた想いに気づかないのだ。


「サトシが悪いんだからね……!」

「え?オレ、何か怒らせることした……!?」


あたしにはサトシが必要だ。
そう伝えたのはいつだったか。
好きで伝わらないなら、言葉を変えるしかない。
だから考えて、伝えたけれど。
返ってきたのは「オレもカスミが必要だぜ」とのほほんとした空気。
まったく伝わらない。
告白の空気がわからないのか。
あの時の笑顔は、絶対忘れない。


「サトシ……」

「な、何でしょうか……?」


体当たりして、馬乗り。
こんな告白の仕方なんて、あるだろうか。
けれど、これだけしても伝わるかわからない。
何せ、サトシは鈍感すぎるから。
馬乗りで、胸ぐら掴んで、睨みつける。


「あたし、好きって言った。大好きって言った。サトシが必要だって言った」

「う、うん……?」

「わかる?それ全部、あたしの気持ちだって。あたしはね、サトシが欲しいの。全部、全部欲しいのよ、サトシ」

「え?」

「サトシが欲しいの」


驚きで大きく見開かれる目。
今度こそ、伝わる?



I want you!

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