ピカチュウ×カスミ



どうしてうまくいかないのかな?
オレンジ色の彼女に抱き上げられる。
その瞳は悲しげに揺れていた。


「あたしだって、弱音吐きたい時だってあるのよ」


強がり言ってるだけ。
時々、こうして抱き上げられることがある。
悲しいことがあったり、挫けそうになった時に、彼女はこうして弱々しい言葉を口にする。
ポロリと零れる雫。
いつも明るく、あの空に輝く太陽のような人。
けれど、どんなに周りを照らしても、灰色の雲がかかっては光も届かない。


「あたし……こんなんで水ポケモンマスターになれるのかな……」


空を見上げた。
どこまでも青い空。
太陽はいつだって青空に浮かんでいる。


「ピカ」


おてんば人魚は、青い海を照らす太陽。
あの空の太陽と同じように、いつだって海に浮かんでいる。


「ピカチュウ……?」

「ピカチュピ。ピカ、ピカチュウ!」

「…………」


どうして彼女が悲しみに濡れているのかはわからないけれど。
雲を払う事はできなくても、ここにいると知らせる事はできる。
幸いにも、電気タイプだから。
きっと光を届けてあげられる。
道を照らす灯火にしかならないかもしれない。
それでも、役にたてるなら。
ぼくたちには、太陽が必要なんだよ。
だから、泣かないで。


「……ふふ、不思議ね。ピカチュウを見てると、とても落ち着くの。まるで迷子のあたしを導いてくれてるみたい……」

「ピーカ」


そうだったらいいな。
晴れたように笑う彼女は、やっぱり太陽のように眩しく、温かかった。



I need you!

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