ゼロス×リナ
「うーむ……どうするかなぁ……」
目の前の現状に首を捻った。
どこを見回しても、人相の悪い不細工たち。
ここらを縄張りにしている盗賊だそうだ。
このくらい片付けるのは簡単。
大技で一発。
しかし、近くに街があるためそれはできない。
ちまちま倒すこともできるが、非常に面倒くさい。
派手なので吹っ飛ばしたい。思いっきり!
「この……!」
「甘い。こんな実力でよく生き延びてこれたわね」
数人が襲ってくるのを華麗にかわし、次々に倒していく。
さすがあたしだ。
その余裕に腹をたてた盗賊が一斉にこちらに刃を向けた。
「多勢に無勢……貴女には関係ない言葉ですね。リナさん」
「ゼロス!?」
木の上からのんびりこちらを見下ろすゼロスは、ヒラヒラと手を振っていた。
「あんた、何でここに」
「秘密です」
「あっそ。って、見てないで手伝いなさいよ!」
「僕は必要ないように思えますがねぇ……」
ゼロスと会話していても、動きは止めない。
それはますます盗賊たちを怒らせることになっているが関係ない。
あたしのが強いから。うん。
しかし……。
ぎろりとゼロスを睨む。
「乙女が襲われてるのに無視するわけ?」
「盗賊より強い乙女なら、助けはいらないかと」
「いいから手伝え!」
「うわっ!?」
何かムカつく。
火球をゼロスに向かって投げた。
木の上から転げ落ちたゼロスは、地面に当たる前に猫のように体を回転させ着地した。
「まったく……手荒いですね……」
「やーん、か弱い乙女にはゼロス君の力が必要なの」
うふ、と大げさにぶりっ子。
ゼロスは仕方ないとため息を吐いた。
「では、一気に片付けましょうか」
最初からそうすればいいのよ。
一瞬ゼロスと目を合わせると、同時に盗賊たちに向かっていった。
I need you!