シェゾ×アルル



「お前が欲しい!」

「…………シェゾ……今度はキミか」

「何だ、その目は」


いつものようにアルルの前に現れると、アルルはジトリと睨んできた。
はあ、と大きくため息をつかれる。


「悪いけど、今日はキミに付き合う元気はないんだ。また今度ね」

「元気がない?元気だけが取り柄なお前がか?」

「失礼だなあ……。僕だって疲れる事くらいあるんだよ」

「疲れる?」


思わず片眉をつり上げた。
ため息をつくアルルは確かに疲労しているようだ。
いつも笑顔いっぱいのアルルが、ニコリともしない。
どこが悪いのだろうか。
そう思った瞬間、アルルは突然ハッとしたように振り返った。


「シェゾ!」

「あ?」

「ちょっとマントの中に隠れさせて!」

「は?あ、おい……!」


後ろに回り込んだアルルが、マントの中に侵入してくる。
一体何だ!
そう聞こうとした時、何かが迫ってくるのを視界の端にとらえた。
見れば、サタンがものすごい形相でこちらに走ってきていた。
またアルルに求婚でもしに来たか。
仕方ないと身構える。
だが、側まで来たサタンは、なぜかそのままスルーしていった。
アルルがここにいることに気づかなかったのだろうか。
構えをときサタンの後ろ姿を見ていると、ビュンと風が通り過ぎていった。
ルルーだ。


「なるほど……」

「シェゾ?サタンは……?」

「ルルーに感謝するんだな。今はサタンもアイツから逃げるのに手一杯なんだろ」

「そう……よかった。今日のサタンしつこくて疲れちゃったんだよね」


もぞもぞとマントから出てきたアルルは、ホッと安堵の息を吐いた。


「オレにも感謝しろよ。匿ってやったんだから」

「ハイハイ。ありがとう、助かったよ」

「礼よりお前の全てをオレにくれ」

「ヘンタイ!」

「誰がヘンタイだ!」


サタンから逃げられたと知ると、いつもの調子だ。現金なやつめ。
アルルに詰め寄ると、アルルはふと表情をゆるめる。


「僕はあげられないけど、カレーならいいよ?」

「む……そういえば腹が減ったな……」

「じゃ、僕の家に行こう。たくさん作るよ」


ニコリ、いつもの笑顔で手をひかれた。
カレーにつられて目的を忘れるほど愚かではないが、まあ、今日は見逃してやろう。
そう思った。



I want you!

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