ケンカ屋三人組

※学パロ


生徒たちのたわいない話が飛び交う校舎で、突然怒号が響き渡った。
次にはガラスの割れる音、女子生徒の悲鳴。
野次馬が囲む中心に、二人の男子生徒が掴み合いのケンカをしていた。
止めようとする周りの制止も聞かず、二人は殴り合う。
誰か先生を呼べ、と声が飛んだ。

「あなたたち、何をしているの?」

しかし、現れたのは先生ではなく。
野次馬はサッとその場から遠ざかった。
ケンカをする二人の元に近づく、みっつの影。
懸命にケンカを止めようとしていた一人が、その影の主を捉えると、一気に血の気が引いたように蒼白した。

「け、ケンカ屋だァァァァァ!!」

叫びながら、その場を走り去っていく。
残されたのは、ケンカをしていた男子生徒二人。

「なーんだ、つまんなそうなケンカ」
「乱闘でもしてんのかと思ったんだがねィ」
「バカ言わないの。私たちはケンカを止めにきたんだから。……ね?」

にこり、真ん中の女が笑う。
ポキポキと指を鳴らし、ケンカをしていた二人の胸ぐらを掴んだ。

「妙ー、俺にもやらせてよ」
「最近俺たち活躍してねェんでさァ」
「あなたたちはやり過ぎるから、ダメ」

そう言って、女は掴んでいた二人を投げ飛ばした。


****


「結局、今日も妙が一人で終わらせちゃったね」
「だって、神威君は相手を殺しちゃうもの」
「俺はそんなことしねェですぜ」
「沖田君に任せるとドMの変態が誕生するから」

妙を中心に、神威と沖田が並んで歩く。

「じゃあ、妙が俺の相手してよ。あの時みたいに」
「嫌よ。私はケンカを止める立場なの。それには、力も必要ってだけ。私、ケンカは嫌いだもの」

迫る神威を、妙は軽くあしらう。
そう言わずにさ、と神威は妙の手を掴み耳元に唇を寄せた。

「あの時の妙、すごい刺激的だったよね。こんなに強い女の子がいるんだってゾクゾクしちゃった。だからさ……したいんだよね……しよ?」
「オイ、そこの変態。そんなに死にたきゃ、俺が相手になるぜィ」

グイと、神威のおさげを沖田が引っ張った。
さり気なく妙と神威の間に入る。
沖田と神威の視線が絡んだ。

「ダメよ、二人とも。ケンカなんかしたら、私がぶっ飛ばします」

ポン、ポンと二人の頭に可愛らしい拳が落ちる。
まったく痛くない頭を撫でた沖田が、ヘーイとやる気のない返事をした。
ケンカ屋。
彼らがそう呼ばれるようになったのは、つい最近だ。
もともと、腕っ節の強かった妙がケンカをしている生徒を両成敗したことから始まった。
学校内でも問題児だった、沖田と神威。
この二人のケンカを仲裁したことで、先生たちから二人のお目付役になるよう頼まれたのだ。
有り余る力はケンカを止めるために。
妙の言いつけを沖田も神威も守っているが、やり過ぎる事が多々あるため、ケンカ屋として恐れられるようになった。
そして、その二人を止める事ができる妙は……言わずもがな。
女番長、が彼女のあだ名である。

「あ、そうだわ。沖田君、土方さんは今日はいるかしら?」
「土方さん……?何か用でも?」
「用っていうか、この間急に雨が降ってきた時に偶然土方さんに会って。その時傘を貸してくれたの。折りたたみ傘なんだけど……それをお返ししようと思って」
「ああ、それなら俺が返しときまさァ」
「あら、そう?直接お礼を言おうと思ったのだけど……」
「俺が伝えておきやす」

そう、と妙は大して気にした様子もなく頷いた。

「大変だね、君も」

くすりと笑う神威が沖田に耳打ちする。
沖田は眉間に皺を寄せた。

「そうやって、妙に近づく男を遠ざけてるんだ?」
「別に。俺ァただ姐さんがマヨネーズまみれになったらいけねェと思っただけだ」
「そ?ま、妙は俺のだから邪魔なヤツは排除するだけだよ。君も含めて、ね」
「上等だ、やってみろよ」

一触即発。
バチバチと火花が散る。

「コラ!二人とも、またケンカして!いい加減にしないと……マジでぶっ殺すぞコルァ」

妙の低い声に、二人は腰を直角に曲げて頭を下げた。


end


18歳組の最強っぷりが半端ない。
沖田君は土方さん家に居候……とか。
一応銀さんとか他の子たちの設定も頭にあったり。
この設定でまた書く機会があれば書きたい。
お粗末さまでした!


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -