満天の星

※銀さん猫化
※お妙さん総受け


目が覚めると、なぜか猫になっていた。

「何でだァァァアア!!」

銀時は叫ぶ。
鏡を見れば、見覚えのあるブサ猫。
真っ白な毛玉に、死んだ魚のような目。あ、これはいつもと同じか。
とにかく、なぜまた猫になっているのか。

「オイ」
「!?」

突然声をかけられ、びくりと振り返る。
銀時は瞠目した。

「お、お前は……!」
「久しぶりだな、ギン」
「ほ、ホウイチ!?」

ホウイチはニッと笑った。

「お前の仕業かコレ!?」
「ギン、お前に頼みがあるんだ。猫だから金はやれねーが、その代わりにいいもんをやる。だからついてこい」
「は?え、おい……!」

走り出すホウイチにつられるように、銀時も走り出す。
じっとこちらを見つめる定春の横を恐々とよぎり、万事屋を飛び出した。
定春デカすぎだろ!何あのでっかさ!こえーよ!
踏み潰されたら間違いなく。
ぞくりと背筋が震えた。
猫になってしまったものは仕方がない。
何だかよくわからないが、ホウイチの依頼をこなせば元に戻れる。
って事でいいんだよな……?

「ギン、あれを見ろ」
「あれ?」

そこは、猫たちが集まる神社だった。
いつもなら、自由にしている猫たちだが。

「こいつは……」

何十匹という猫がぐったりと横たわっている。
生きてんのか、あれ。あ、痙攣した。一応息はあるようだ。

「以前、エサを人間からねだる方法を教えたな」
「あ、ああ……」
「その時、得体のしれないものを置いていった女がいたろう」
「得体の……?あ、お妙、か……?」

ボンレスハムより100倍も身体に悪いダークマターを置いていった妙。
まあ、結局九兵衛が持ってってしまったが。
最近あの女がそのダークマターを持って来るようになったのだと、ホウイチは言う。

「最初は罠か何かかと思ってたいたんだが、どうやら、飼っていたペットがいなくなったらしくてな。淋しくてここへ来てしまうらしい」
「ペット……?あいつペットなん……て……」

銀時は言葉を呑んだ。
まさか。
たらり、汗が伝う。

「覚えがあるのか?」
「え!?いや、えっと……」
「とにかく、あの女のせいで猫たちが次々に屍と化していく。何とか止めさせてほしいってわけだ」
「止めさせろって……どうやってだよ……!?」
「そいつはテメーで考えろ。あの女と知り合いなんだろ」

知り合いっつっても今猫なんだけど!
元に戻せと言っても、ホウイチもなぜ銀時が猫になったのかわからないらしい。
困り果てていたところ、銀時の顔が浮かび、藁にすがる思いで万事屋まで来たらすでに猫になっていた、と。
どういう事だよ。

「あら、新しい猫ちゃん?」

聞き覚えのある声。
振り返る前に抱き上げられた。

「まあ……ブサイクな猫ちゃんね。あら、でもどこかで見たことあるような……」

お、お妙……!
人間から見たら、野良猫の違いなんてそうない。
あの時に会った猫がどんなかは記憶も曖昧だろう。
ゴリラがインパクトあっただろーし。
よしよしと頭を撫でられ、そのまま胸元に抱かれた。
……コレ、まずくね?
慌てて暴れたが、暴れれば暴れるほど、宥められ、さらに胸元に押しつけられる。
放せ、と言ったところで通じるはずもなく。
仕方なく、大人しくしてる事にした。
こいつ本当に胸ねーな……。

「今日もご飯持ってきたのよ〜。みんなで食べてね」

差し出されたのは、もちろんダークマター。
ホウイチに助けを求めるように目を向ければ、もう姿はどこにもなかった。
逃げ足の速いヤツだな!
さあ、食べて。とニコニコ笑う妙。
銀時は引きつる顔で妙とダークマターを交互に見る。

「私が食べさせてあげるわね」
「!?」

銀時は慌てて妙に飛びついた。
この際仕方がない。
お腹は空いていないのだと、ニャーニャー必死に訴えた。

「あらあら……ずいぶん人懐っこい猫ちゃんね……。何だか誰かさんに似てると思ったけど……こんな可愛いらしい人じゃないわね」

妙は優しく微笑んだ。
けれど、どこか淋しそうで。

「……ウチにくる……?」

抵抗する気にはなれなかった。


to be continued


長くなりそうだったのでわけます!
お妙さん総受けとありますが、次回から!

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