待ち合わせ場所は喫茶店
盲目? 薬なし?
いつも上がり気味の眉をさらにつり上げ、眉間には皺を寄せた。
「ばっかじゃなかろうか」
お決まりのセリフを吐いて。
「だから、ここはこうで……」
「わ、わかってるわよ! いちいちうるさいんだから!」
白いノートに並ぶ文字の上を、ロドニーの指がなぞった。
勉強中らしいその様子は、どこから見ても恋人同士のそれだ。
実際恋人同士なのだから当然ではあるが。
キアラが始めた勉強を、ロドニーが勝手に横から口を出した、そんなとこだろう。
そもそも、キアラの成績は優秀だ。
だが、それよりもロドニーの頭脳の方が上。ゆえに、ついつい口出ししては、ああやって言い争っているわけだ。
……と、言いたいとこだが、反発しているのはキアラだけで、ロドニーはにっこりと微笑んでいる。
「ばっかじゃなかろうか」
本日二度目の口癖は、やはりバカップルへ向けることとなった。
元素回収していた頃はあんなにケンカばかりだったというのに。
想いが通じあった途端、見るのもバカらしいほどのラブラブっぷりだ。
トムは面白がっていたが、悪趣味だとしか思えない。
「うーん……」
「教えようか?」
「だめ! 自力でやんなきゃ意味ないもの!」
「そっか……。じゃ、見てるだけにするよ」
「そうして……って、あたし見てどうするのよ」
「僕は楽しいよ。ころころ変わるキアラの顔見るの好きだから」
「ば、ばか!」
「はは、本当にキアラは可愛いな」
最悪。
別に覗き見ているわけではないのに、この恥ずかしさにも似た妙な気分はどうしてか。
それもこれも、ホミがこんな所を待ち合わせ場所にするからだ。
そのくせ遅刻だなんて。
来たらまず文句言って一発どついてやろう。
そう決心して、すっかり冷めた紅茶を一気に流し込んだ。
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待ちぼうけハンナとバカップルなロドキア。
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