知りたいなんて言ってない



手を繋ぐ。

それは山や森や人混みなどで、はぐれないためにする行動だと思っていた。
いや、実際そうだろう。
親が子の手を引くのはそういうことだ。
それ以外にどんな意味があるだろうか。
意味があるから生まれる行動であって、だからこそその意味を見いだせないのだ。
コレにはどんな意味があるのだろう。



「意味ならあるだろ?」


当然のように彼は言う。
無意味なんて言われたら傷つくぜ、なんて、全然傷ついた様子もなくにこやかに笑った。



「お前の気持ちがはぐれないように、しっかりと繋いでるんだ」


そんな恥ずかしいセリフ、無邪気に言わないでほしい。

繋ぎたいから。

そう簡単に言うと思っていたのに、まさか明確な意味をあの彼が見出だしていたなんて。
これでは、そうかと頷くしかない。



「ってか、難しく考えすぎじゃね? もっと気楽にな」


気楽になれたら、そもそも意味を見いだそうなんて思わない。
これは自分自身が落ち着くための行動だ。
でないと、平静なんて保てない。



「じゃあさ、コレの意味も知りたい?」


繋がれた手を一層強く握られた。

何?

言葉にする前に、ふわりと塞がれてしまった唇。
その行動を理解した途端、熱が上がって何も考えられなくなってしまった。


「好きって伝えるためにするんだぜ」



意味を知りたいなんて言ってないでしょ!



(おい、カスミ……?)

(…………)

(手繋いだだけで顔真っ赤にして固まっちゃったもんな…………やりすぎたか)



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こっぱずかしい!
これは書いてて恥ずかしかった!
読んでくださった方、ありがとうございました!

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