銀時×妙
2020/05/14

こんな事、今までされた事なかった。そういう事する人じゃないからだ。期待した事もないし、別にそれでいいと思っていた。

「何突っ立ってんの。座れば?」
「ええ……」

指定された場所に来た時は驚いた。まさか、新しくできたレストランの予約を、彼がしていただなんて。高級とまではいかないものの、それなりの値段はするというのに。

「ねえ、銀さん。どうして急にこんな……」
「たまにはいいだろ」
「たまには、って……お金あるの?」
「あるから予約したんだろーが!何なのその顔!?疑ってんの!?」
「だって…………」
「お前な……まさか、今日何の日だか忘れてる?」
「忘れるわけないでしょう。結婚記念日なんて特別な日を」

だから戸惑うのだ。特別な日に、特別な事をしてもらった事などなかったのに。ほんの少しの言葉と、ささやかなプレゼント。それだけで、満たされてしまうくらいには嬉しいものだった。たまには贅沢したいとは言ったかもしれないが、冗談として彼も受け取っていたはず。

「何だよ、もっと喜んでくれると思ったけど?」
「いざこうなると、戸惑いの方が大きいわ」

まあ、それでも。

「そうね、嬉しい……わね。銀さんがこんなサプライズしてくれるなんて思わなかったから……ビックリしたけど」
「……なら笑えよ……お前に笑ってほしくて予約したんだからな」

ぼそり、ぶっきらぼうに言ったその言葉に、自然と顔が綻んだ。




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