斉木×照橋
2017/06/14

目の前にいる彼女が何を言おうとしてしているかなど、表情を見なくたって容易くわかってしまう。超能力者だからだ。

「斉木君……」

それでも、対処する方法が思い浮かばないのは、真っ直ぐにこちらを見つめる瞳のせいなのだろう。
こんなものに、惑わされる自分が信じられない。

「斉木君って……私の気持ち、知ってるよね……?」

もちろん知っている。超能力者だからだ。
だが、彼女となるべく距離を置くには知らないフリをするしかない。

「今逃げたら、全校生徒の前で叫ぶから……!私の気持ち……!」

そんなことされたら、学校が地獄に変わる。そんな恐ろしいこと、どうなるか彼女だってわかっているだろうに。

「お願いだから、応えて。このままでいるの、もう嫌なの」

それはこちらのセリフだ。
いつまでも人気者の君につきまとわれるのはうんざりだ。
もうバレてるなら言ってやればいい。傷つけないように、なるべく、言葉を選んで。

「…………」
「…………」

言ってやればいい。この際、傷つけてしまうとしても。ハッキリ言ってやるべきだ。

「…………」
「…………」

何も、出ない。
なせだ。なぜ何も出てこない。ただ一言でも、言ってやればいいだけなのに。

「…………意気地なし」

真っ赤な顔でそんなこと言われて、まったくだと思った。
まったく、ってどういう意味だ?




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