どざえもん×妙
2017/01/23
どうしてだろう。
不思議な感覚が胸の内から離れない。
「姐さんは……どうして俺を助けてくれたんだろう」
何者かもわからないような輩を。
「あら、まだそんなこと言ってるの?」
「あ……姐さん……!」
「放っておく方がおかしいのよ。どざえもんさん」
にこりと綺麗な笑顔を見せられ、心が軋む。
大切な何かを忘れてしまっているかのような、そんな気がした。
「それにね、不思議だけど……あなたのこと他人とは思えないのよね。もしかしたら、前にどこかで会ったことがあるのかしら?」
「もしそうなら……他の記憶はいい、姐さんと会った時のことだけでも思い出したい」
大切な何かも取り戻せるかもしれない。
けれどそれは、自分のもののような、違うような、そんな不安もあった。
「ふふ、記憶が戻っても……どざえもんさんはうちのペットでいてくれるかしら」
「俺は……」
そばに居られるのなら。
これからもずっと、いつまでも、隣に。
そう思うのに。どうしてだろう。思っているのが自分のようで、自分じゃないように感じるのは。