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未来編


さらさらと、ビル風によって靡く黒髪を手で押さえながらトウキは離れたところからじっと白蘭と会話する沢田綱吉に視線を向けていた。
その透き通りすぎていっそ無機質な茶色の瞳からは何を考えているか真意が読み取れない。

ふいに綱吉と話していた白蘭がトウキの方を振り向き、手招きをする。

白蘭のその行動に頷くとトウキはいた場所…綱吉や白蘭がいる場所より遥かに高いビルから落ち、綺麗に着地して白蘭の隣に立つ。

その手に持っているのはジャイロルーレット。
トウキがそれを無言で掲げると白蘭がピタリとそれに手を乗せる。

『リングを嵌めている手を歯車の側面に添えて下さい、ボンゴレ]代目』
「は、はい」

透き通ったトウキの瞳に射抜かれ、綱吉はとぎまぎしながらもジャイロルーレットに手を当てる。

「チョイスの掛け声で歯車を右に回すよ」
「え…ちょっとまっ…」
「チョイス」
焦る綱吉を尻目に白蘭はルーレットを回す。

カチリ、とルーレットが止まった。
八つの記号の中にトウキの属性、夢は入ってはいない。

「これで決まったからね。バトル参加者♪」
にっこりと笑った白蘭の顔をトウキは無感情に見ていた。


「な…何なの!?なんか数字が並んでる…」
綱吉が唖然としながら壁に映った映像を見る。

「属性のマークの横に…そうか…!!各属性の参加人数…!!」
「そ♪ジャイロルーレットでチョイスされたのは実際にフィールド内で戦う各属性の戦士の数だよ」
ハッと呟く正一の言葉に白蘭が返答する。

「!!待って下さい白蘭さん。このチョイスはおかしいです」
「なんで?」
「夢がルーレットの中に入ってないじゃないですか」
「ああ、それはボンゴレ側には夢の守護者がいないでしょ?」

にこっ、と笑顔で白蘭が言った言葉に、ボンゴレ側は苦々しい表情を浮かべる。

「ま、うちのトウキチャンが出たら一瞬で勝っちゃうから。そんなのつまんないからねぇ」

そういって自分の頭を撫でる白蘭の顔を一瞥した後、トウキは眼を伏せた。




  チョイス、スタート



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