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Arroganza


今日も、綱吉は夢月に愛を囁く。深く深く、体に染みいるように。

「愛しているんだ夢月。すべてが好きだ。すべて愛している。
 愛しているんだ夢月。」
ここまではいつもどおりだった。

「前はあいつを選んだけれど、今度は俺を選んでくれるよね?」
この言葉を聞いて、夢月は凍りついた。

前世で、夢月に告白してきた一人の男がいた。
その時にはもう旦那と付き合っていたので、夢月は断った。
そしたらその男は驚くべき行動に出た。
旦那を殺そうとしたのだ。
もちろん、殺人未遂で刑務所に入れられたが。
よく見ると、綱吉の狂気に染まった暗い眼は、その男にそっくりだった。


『――…まさか…』
「ようやく気付いた?
 ずっとずっと俺は夢月だけを見てきたんだよ?ずっとだ。
 夢月が失踪して前世の記憶を思い出してからの十年間、夢月を思わなかった日はなかったんだ。」
夢月は何も言わず、後ずさった。
その腕を、綱吉は掴み、抱き寄せる。

「この十年だけじゃない、刑務所での五年間、夢月を思わなかったことはなかった。
 それに、俺を邪険には出来ないだろ?俺だけなんだよ、夢月のすべてを理解できるのは。
 俺だけだ。俺しかいない。だから、俺だけを見て?俺を愛して?」
そう言って、綱吉は一層夢月を抱きしめた。

そして、夢月はゆっくりと目を閉じた―――…


もう、抜け出せない


Arroganza[傲慢] End.
お題提供:ぴんくのもも様。

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