本編 | ナノ
Arroganza
私は暗いくらい部屋の中にいる。
ツナに、捕まってしまったから。
「夢月。夢月。夢みたいだ。夢月が此処にいるなんて。」
ツナは、「私」のことなんて見ていない
。ただ、「私を愛している」「自分は夢月を愛しているんだ」という事実がほしいだけなんだ。
…本当、同情心しか湧かないよ。私が遙か昔にあこがれた「沢田綱吉」はどこにいるんだろうね?
ここにいるのは、ただ恋に狂って、相手に自分の「愛」を押し付けている独りよがりの男だけだ。
本当、愛に狂って、狂って狂って、なにも考えられないくらいになって、私だけを見て、私のことしか考えられなくなって、死んじゃえばいいのに。
そしたら、そこまで落ちてきたなら、私も愛してあげるから。
愛して愛して、愛してあげる。
狂おしいほどの愛をあげる。
ずっと、ずうっとこの冷たい冷たい、狂おしいほど美しい闇の中にいよう?ツナ。
光なんて邪魔だつらい現実よりも、楽な幻想のほうがいいでしょ?
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