本編 | ナノ
Arroganza
妹が失踪した。
だがこの町の人たちはそんなことは気にしてはいない。
妹は嫌われ者だったからだ。
妹は、生まれた時から特異だった。
教えてもいないのに、文字を使い、すらすらと話す。
そんな妹を目にしてしまった両親は、普通の赤ん坊のオレだけに愛情を注いだ。
オレから見た妹は、無口で、なにを考えているか分からない。とても不思議な存在だった。
それでも妹はオレの片割れであり、とても大切な存在だった。
リボーンが来た時、妹をマフィアの陰謀に巻き込まれないように、必死で説得した。
リングを妹に渡さないように、父さんに必死で頼み込んだ。
でも、未来で、妹がミルフィオーレ側についていると知ったとき、絶望を、感じた。
何故?なんでなんでなんでなの?夢月。
今までずっとマフィアに巻き込まないように、頑張っていたつもりだった。でも、白蘭に大切な妹を取られた。
愛情が、憎悪に変わった。
未来から帰還してしたことは、妹を無視することだった。
そうしたら、守護者たちは、オレがミルフィオーレ側についた妹を憎んでいると理解し、いじめ始めた。
両親は、始めから妹を薄気味悪いと思っていたのですぐに妹を無視し始めた。
妹は、完全に孤立した。こうすれば、妹は首謀者のオレを憎んで、その眼に映してくれると思っていた。
でも、妹の眼に有ったのは、無だった。妹は、オレがなにをしてもその瞳には映してはくれなかった。
一回オレが虐めると決めたら、守護者は止まらなかった。どんどん虐めの内容は、残酷になっていく。
もう何年も飲まず食わずで生きている妹が、不思議でたまらなかった。同時に、妹とオレの違いを、見せつけられたような気がした。
最初は妹の眼にオレを映してもらうための行動だったのに、肝心の妹がいなくなってしまった。
「十代目!良かったっすね!これでボンゴレのわだかまりは消えましたよ。」
『夢月を、探してくれる?』
「は…?あいつはいらない存在なんじゃなかったんすか?」
『うるさい。オレに口ごたえするの?』
「…わかりました。ボンゴレの情報を使って全力で探します。」
『うん。よろしく。』
仲間なんていらない君だけでいい。
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