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未来編


沢田綱吉の頭の中は混乱でいっぱいいっぱいだった。

もともとそこまで賢くない頭だ。

立て続けに色々なことが起こり容量オーバーするのは目に見えていた。
綱吉はそう言い訳じみた事を考えながら、寝返りを打った。



ピピピ、という電子音がしたので脇から体温計を取り出す。

「38度7分…。」

そう呟き、綱吉は枕に突っ伏した。



「はあ…入江正一は仲間になるし白蘭とは決闘しなきゃいけないしボックスはうまく扱えないしバイクは乗れないし…夢月はいないし…あーもー!」

頭を抱え、綱吉は寝返りを打つ。

寝返りを打った拍子に、綱吉の胸元から指輪が落ちた。

おどろおどろしい雰囲気を放つその指輪は十年後の雲雀恭弥から受け取った…夢のリング。



「…オレの葬式、か。」


ちらり、と枕元に飾られた橙の君子蘭と芥子の花を見る。

葬儀から何日たっても枯れないその花は、双子の妹が生きていることの証のようだった。

「あーもーどこにいるんだよ夢月…」


この十年もの間行方不明の上、戸籍上はもう死亡していると聞かされた時は驚いたし、悲しかった。
自分は夢月に見合う強さを手に入れられなかったのかと。


「自分に見合った強さになったら鈴を鳴らせ、か」

あの日受け取った鈴を懐から出し、綱吉はじっくりと眺める。
よくよく見ると細やかな細工がなされているその鈴は、ためしに振っても音が鳴らずまるでお前はまだまだだ、と言われているようだった。


「はぁ…頑張るしかない…よなぁ。」
綱吉は夢のリングと鈴を懐にしまい、布団にもぐった。

  大空の葛藤

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