文章修行家さんに40の短文描写お題

※ 捏造・自己解釈や百合・暴力表現有

01.告白/切島鋭児郎
開かれたアルバム。自信なさげに指差す先に映るのは黒髪の少年。これが本当の自分だと苦笑する彼に私は言う。そんな君が好きだよ。

02.嘘/トガヒミコ
同級生と喋りながら貧乏揺すりを続ける彼女の顔には、満面の笑みが浮かべられている。貼り付けられた笑みの裏側を知っているのは、私だけ。

03.卒業/トガヒミコ
気付いた時には胸に飾った花が赤く染まっていた。花越しに挿したストローからチウチウと血を飲む彼女は満面の笑みで言う。卒業おめでとう。

04.旅/荼毘
行き先も見ずに乗り込んだバスが動き出す。隣に座る彼は遠くを見つめていた。私の事など気にも留めない彼に縋るように、私は彼の手を握る。

05.学ぶ/八百万百
教科書を読む彼女の声は心地良い。微睡んでいると、端正な顔が目の前にあった。拗ねた顔が可愛くて笑うと、彼女も困ったように笑った。

06.電車/轟焦凍
満員電車を良い事に、壁際まで追い詰められた。硝子越しに覗く瞳は熱を帯びている。逃げ場を求めて目を閉じたら、今度は吐息が私を呼ぶ。

07.ペット/死柄木弔
彼の指先が触れる。一本ずつ増えていく指先に私が怯える程に彼の笑い声が響く。それでも無意識に彼の腕に縋る私は、心底彼に毒されている。

08.癖/爆豪勝己
かっちゃん。名前を呼びかけても彼は振り返りもしない…でも。名前を呼ぶ度彼の歩幅が私に合わせて小さくなるのは、多分気のせいじゃない。

09.おとな/ホークス
彼が優しく私の頭を撫でた。また今度と甘い誘いを匂わせる声はいつだって嘘付きだ。我儘な私を置いて空に消える彼はきっと狡い大人だ。

10.食事/緑谷出久
待っていた料理が来るなり、彼の瞳がぱあっと輝く。可愛くて思わず笑う私に、彼は一緒にご飯を食べられて嬉しいと続けた。それは反則。

11.本/上鳴電気
本棚の隙間から彼が顔を覗かせる。ふざける彼を無視していると、不意に探していた本を持った彼に引き寄せられた。狡いよ馬鹿。

12.夢/轟焦凍
嫌な夢を見た。頭を抱えながら起き上がると、隣にいた彼が目を覚ましていた。彼は何も聞かずに手を引くと私を抱え込む…ああ。もう大丈夫。

13.女と女/トガヒミコ
彼女が指を切った。傷を見せて来るので、彼女の真似をして血を舐めた。ニヤリと笑った彼女があまりに妖艶で、味なんて分かる訳なかった。

14.手紙/緑谷出久
彼の机から便箋が落ちた。拾うと、無骨な字で書いてあるのは私の名前。咄嗟に取り上げられて振り返ると、真っ赤に染まった彼の顔。

15.信仰/荼毘
焼け爛れた彼の皮膚に唇を寄せる。彼は何が楽しいのかと呆れたように笑う。だって彼の青い炎が刻んだ傷痕なんて美しい以外の何物でもない。

16.遊び/死柄木弔
靴音が何処までも追って来る。物陰に隠れても人混みに紛れても駄目だった。それでも恐怖に突き動かされて足を進める…なのに。「みいつけた。」

17.初体験/上鳴電気
普段の彼は何処へ行ったのか。頬に掠めた吐息に胸が高鳴る。思わず後退ると腰を掴まれた。次の瞬間には彼の唇に初めてを奪われていた。

18.仕事/轟焦凍
一人助ける度傷が増える。彼の視線が痛い。笑って誤魔化していると、彼が首筋に顔を寄せた。鋭い痛みと共に今度は彼が赤い傷痕を刻む。

19.化粧/耳郎響香
彼女を彩る新作のグロス。褒めると照れ臭そうにはにかんだ。私も買おうかなと零すと、笑った彼女が私にキスをする…お揃いになっちゃった。

20.怒り/轟焦凍
男の匂いがする、と帰宅するなり彼に寝室へと連れ込まれた。気怠さを感じながら彼の背に手を回す…嫉妬を求める私の方が彼に依存してる。

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20200117〜20200129

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