この世界の神様はとても不平等で気まぐれで、時になにより残酷だ。だから私の兄さんは自らの力でこの世界の神となり人々を救う立場になった。神となった兄さんはどんな神より残酷で気まぐれな存在へと成り下がった。私はそんな兄さんを"神に使える天使"などという紛い物の呼び名を呼ばれ続けながら、誰よりも傍で見てきた。けれど、それはもちろん長く続くことはなかった。ほぼ全ての世界を恐怖に陥れ独裁者となった兄さんは、世界の救世主となったボンゴレファミリー10代目の全てを包容する炎によって倒された。そしてそんな最後を私を取り押さえにやって来たボンゴレファミリーの人間から聞いた時。神の最後はあまりにあっけないと、人間はどんな大きな力を持っても神などにはなれないのだと実感した。そしてもちろん私も。それでも、簡単に翼を剥かれてどん底へと突き落とされた私の中には、ただ一つだけ消えない感情があった。それは、誰よりも愚かな兄さんを"愛している"という感情。神という名の元に数え切れないほどの人を殺めてきたあの人を"愛している"だなんて。恥ずかしいほど愚かなまま、翼を失って死んでいく私に、愛する兄を倒した救世主…沢田綱吉は言った。"忘れない"と。暗く冷たい場所に沈んでいく中。私を救ったのはもはや神ではなくなったただ一人の兄との優しい思い出と、沢田綱吉が紡いだたった一言の言葉だった。

白いレースはまるで鎖
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