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■48 クロと献立と雪男と燐

「クロ、今日はかぼちゃの含め煮だぞ。…食べるよな?」

『かぼちゃ!たべる、たべるっ』

「これも熱いから気をつけてな。ほら」

『いただきまーすっ』

「…おう(前肉じゃが作った時、なんか細けえ事言ってたからちょっと心配だな)」

『はふはふ』

「落ち着けって」

『はふっ』

「どうだ、美味いか?…ちなみに今日は雪男の帰りは遅くないぞ(ドキドキ)」

『…なん…だと…!?(落雷)』

「…え?」

『うまい…うますぎる…なるほど、おおめのだしでにたのか。かぼちゃもにくあつ、なによりあじつけが、じつにじょうひん…これはたまらん!!』

「………クロ?」

『りん、よめにこないか!(いい顔で)』

「………は?」

『え、あ、なんだ、りん、うまいぞっ、りんのりょうりは、ほんとうにおいしいなっ』

「いや、…すんげえ褒めてくれたっぽいけど、…やっぱりおっさんみたいに喋ったよな?嫁とかどういうこと?」

『なんのはなしだ?』

「…前もそうやってとぼけたよな?」

『りん、なにいってるんだ。おれ、よくわかんないぞ。これ、おいしいぞっ』

「あ、うん、もういいです…さんきゅ…」

『あしたもたのしみだ!』





「…ちょ、兄さん、…最近腕また上げた?これ美味しすぎる。美味しすぎて死ぬ。お嫁さんになって」

「…さんきゅ」

「テンションおかしくない?ベタ褒めしてるのになんで暗いの?」

「じゃあ俺はどうしたらいいんだよ!喜べばいいのか!素直に喜んだらそれでいいのか!!」

「えっ…ちょ、何、どうしたの…。兄さんのおかしなテンションとこの美味しすぎるかぼちゃの含め煮と何か関係があるの」

「俺は褒められても怖いんだ」

「…?なにが…?…よくわかんないけど、僕は幸せだと思うよ」

「…そりゃあいいことだな、うん」

「だから、何で褒めてるのにそんな遠い目してるの」

「素直に喜べなくてごめんな。…ついでにさぁ、俺、プロポーズされたんだけど」

「なんだと(ガタッ)今さっき僕がプロポーズしたばっかりだろ、他に誰が…!クソ心当たり多すぎる…で、どこの馬の骨にされたんだよ」

「いや、冗談でな。勢いでな。…複雑だった」

「ちゃんと断ったの!?ダメだよ、兄さんはどこへもやらないから!!」

「……は?ちょ、落ち着けよ、どうした?」

「僕、兄さん以外の人が作った料理なんかもう食べられないから!」

「頼むから落ち着いて座って食え」

「こんなに美味しい料理で僕の胃袋わしづかんでおいて、今更どっかいけると思うなよ」

「ちょ、おま、目が怖い!なんなんだよ!なんで俺の料理食った奴がことごとくおかしくなってんだよ!」

「いい、約束して、他の誰のところへも嫁がないって」

「…俺ちょっと逃げていい?」

<おかしいのは全員だった>


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