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■97 伸びたら切るでしょ
雪+燐

「………」

「………」頭ガシッ

「……おい、何してんだ、殴られたいのかこのバカ」

「いや、おまえの髪伸びたなーと思って」

「そう…?」

「よし、お兄様がカットしてやろう」

「……え」

「ハサミハサミ…」

「ちょ、いい、やめて、お願いやめて」

「なんでだよ。カット代浮くだろ。それに俺、結構器用なんだからな。お前の髪くらい綺麗に切れる。安心しろ、怪我とかさせねーって」

「そうじゃない!兄さんが器用なのは知ってる、だからだよ!器用すぎて訳わかんない髪型にするだろ!」

「え〜?しねえよお〜」ニヤニヤ

「うっわ、ムカつく顔…!!」

「お前はあれだ。髪型から爽やか優等生オーラ出しすぎ。俺様が適度に遊びを加えてかつスタイリッシュなイケてるメンズの髪型にしてやる」

「いらねーよ!!爽やかで何が悪い!!」

「ムカつくんだよ!!いかにも“僕は優等生です”みてーな雰囲気かもし出しやがって!!もっとメガネが際立つ超クールな髪型にしてやんよ!!」

「今のままで気に入ってるから余計な事しないで!!」

「ハァ?おめーそんなんじゃ世の中渡っていけねーぞ!!そんなんだからいつまでもシュラにビビリとか言われんだ!!たまには冒険しようぜ!!」

「無謀な冒険はしない主義!!やんちゃは兄さんだけで充分!!僕ら二人ともふざけてたらとんだバカ兄弟になるだろ!!」

「俺はふざけてねー!!んな守りに入ってっから老けるんだよ!!溢れるパッション感じさせろよ!!」

「情熱は内に秘めておくもんなんだよ!!」

「カッコつけてねーでさらけ出せ!!」ボンッ

「あっつ!?ちょ、炎出てる!!いい加減にして!!焦げる!!」

「いっそチリッチリにしてやろうか…!」

「えっパンチパーマ!?」

「今からてめーをパンチホクロメガネにしてやる」

「ふざけんな。マジふざけんな。…ちょ、寄らないで!!ハサミを捨てろ!!」ジャカッ

「あ…てめ、また俺に銃向けやがって!!」

「いいから!はさみを!捨てろ!!」

「…………」じりじり

「…………」じりじり

「クロ!!雪男を押さえろ!!」

「あー!!クロ使うなんて卑怯だろ!!」

にゃーん!!

ドスン

「よし!ナイスクロ!!」

「ちょっ、えっ、…えっ!?待っ、おい、まさか、本気なの!?」

「俺が今まで冗談を言っていたように見えたか…?まぁパンチパーマは可哀相だから?もうちょっとカッコいいやつにしような?」ニヤリ

「ふざけんなこの悪魔!!殴る!!本気で殴る!!」

「どぉぞ〜?その前におめーの頭を前衛的な芸術に昇華させてやるよ」

「バカのくせに難しい言葉使いやがって!!」

「クロ!!そのまま雪男を押さえとけよ!!」



「………」

「ゆーきおっ」

「………」

「雪男―?」

「………」

「ゆき、…ぷぷ、おっ」

「………」

「ぶふぅっ!!お似合いですなぁその頭!!ちょーかっけー!マジ惚れるわ!!」

「……ふざけてんじゃねーぞこのクソ悪魔…」

「ぶはー!!だめだ、もう我慢できねー!!超閣下じゃん!!ソレ完全にデー○ン閣下じゃん!!おめーのほうがマジ悪魔っぽい」

「……っ、…さ い あ く …!!」

「記念写真も撮りましたから。あとで勝呂と志摩と子猫丸に送っちゃおー」

「やめて!!そんな事したら本当に許さないから!!」

「プススー、印刷してしえみにも見せちゃお…“雪ちゃん超カッコいい”って言われるぜ。もちろん爆笑しながら」

「………」

「……あっ、本当に怒った?」

「………」

「泣いた?」

「………」

「ごめーん雪ちゃん。ちょっとしたお遊びじゃーん。な?すぐ元に戻してやっから」

「………」

「え?」

「よほど拷問されたいようだな」

「……エッ?」


<つづく>


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