■79 例のゲーム2
(○ッキーの日で雪→燐)
※以前の小ネタとかぶってるけど開き直ってもう一回やる
塾での授業が終わった後、にやにやしているシュラさんに箱を投げつけられた。
…某有名スナックだった。
スティック状のプレッツェルにチョコレートのついた、あれだ。
まぁ、グリ○の○ッキーだ。
「おいビビリ、今日は○ッキーの日らしいぞ。それで燐とでも遊びな」
にしし、と意地の悪そうな笑みを浮かべたシュラさん。
これで兄さんと遊ぶ?
……確かに、このお菓子を使った有名なゲームがあることにはある。だがそれはわざわざ誘って「やろうぜ!」などどいうものではなく、普通何かの罰ゲームだったり余興だったりするわけで、決して唐突に「やろうぜ!」などというものではなく、普通何かの罰ゲームだったり余興だったりするわけで、決して…………動揺しすぎて同じことをぐるぐる考えてしまった。
気づいたら既に寮に着いていて、いつも過ごしている六○二号室のドアの前だった。
そっとドアを開けたら、兄さんは既に先に帰っていて、宿題もせず寝台の上でクロと遊んでいる。一瞬イラッとして、その後シュラさんに言われたことを思い出す。
今日はポッ○―の日らしいぞ。それで燐とでも遊びな。
シュラさんはそう言った。
……いやいやいや、普通に考えて兄さんと僕で○ッキーゲームってどういうことだ。ないだろ。なしだろ。いくら仲のいい兄弟でも○ッキーゲームなんかしないだろ。普通は男女で盛り上がるゲームだろこれ。
たとえ僕が冗談で兄さんを誘っても、やるなんて言うわけない。
そう思って鞄を床に置いたら、シュラさんに貰った○ッキーの箱がぽろりと落ちた。
それに気づいた兄さんがこっちを見た。
「おっかえりー。…あり、めずらしーな、お前がお菓子なんか持ってんの」
「え、ああ、…まぁ、貰ったものなんだけど」
「ふーん、……○ッキーじゃん。あ、そうか、今日11月11日だもんな、ポッ○―の日か!」
知ってるのかよ。…どうせ志摩くんあたりに教えてもらったんだろうけど。
「…よかったら、食べる?」
思わずそう言っていた。
兄さんは一瞬キョトンとしたけど、「くれるんなら食う」と言った。
よ…よし、…ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ言ってみちゃおうかな。
別にシュラさんにたきつけられたからじゃない。
ほんの冗談だ。
ほんの冗談。
「…ね、ねぇ、兄さん」
「んー?」
「この○ッキー、あげてもいいけど、その代わり僕と遊ばない?」
「んぁ?どういう意味だよ」
「ほら、…知ってるでしょ、○ッキーゲーム」
「………」
兄さんはきょとんとした顔で僕を見た。
…まずったか。
そうだよな…いくらなんでも兄弟で○ッキーゲームは……
「いいぜー」
いいのかよ!!!
どこまでバカなんだこいつは…!!
「どうせなら三本くらいでやろーぜ」
しかも三本かよ!
兄さんは勝手に○ッキーの箱を開封し、中から三本○ッキーを取り出した。そのままためらいなく口にくわえ、僕に向かって「ほい」と言った。
……本気なの……!?
ちょ、どうしたらいいのこれ!?
兄さんホントに何も考えてないの!?…まさか他の人にもこうやって無防備にしてるんじゃないだろうな!…ストレスで胃どころかハゲる!!
そんなことをぐるぐる考えていたから、兄さんがしびれを切らしてあごをクイクイと動かし、「早くしろ」と示した。
ごめん、天国の神父さん。
これも全部(小)悪魔で底なしにバカな兄さんが悪いんだ。僕は悪くない。
ぎゅっと目を閉じて口を開ける。
しょうがない。このまま兄さんと接吻することになってもこれはしょうがないことなんだ。許して兄さん…………
「――――――んぐっ!!?」
喉の奥に突き刺さる痛みに目を開けたら、兄さんが真剣な顔で何本もの○ッキーを手にしていた。
「痛!いった!何してんの兄さん!?」
「何って、○ッキーゲームだろ」
「そうだけど、なんでそんな構え!?」
「は?普通そうなんだろ、相手の口にポッ○―を何本突き刺せるかっていうゲームだろ?」
ちっがあああああうう!!
なんだよ!!完全に間違った知識じゃねーか!!突き刺すって、血みどろじゃねーか!!
「覚悟しろメガネ…次は10本だ」
「やーあああめーえええろおおおお!恨みでもあるのかあああああ!!」
「セイ!!せええええい!!」
「ぎゃああああああああ!!」
(暗転)
「おーっす雪男、どうだった昨日。燐とちゅーできたか?にゃはは…」
「喉に穴が開きました」
「…は?」
「喉に穴が開きました」
「…え、おい」
「喉に穴が開きました」
今後何があっても兄さんとは○ッキーゲームをしないと僕は誓った。
とりあえず僕は何よりも先に耳鼻咽喉科に向かわなくてはならない。
<○ッキーの日おめでとう!>
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