平穏な時間


今日から通うことになった四天宝寺中学校。
私は3年2組に転校生としてやってきた。
隣の…、綺麗な髪色をした包帯を巻いている男の子(名前聞くの忘れてた)があまりにも美人過ぎて、話掛けようにも話掛けれない。
ふと、窓枠で切り取られた澄み切った青空を眺める。
そう言えば、昨日の女の子、大丈夫だったかな…。
酷い怪我してた。
あれは…、きっと故意に傷つけられたのだろう。
どうか、あの子の心が死にませんように、なんて祈るしか出来ない私は無力だ。


「よし、これでSHR終いや!」

担任の先生が教室から出て行くと、あっと言う間に私の机の周りに人が集まった。


「雨宮さん、どこから来たん?」

「私、北海道から来たの」

「北海道!ごっつ遠い所やん!」

「方言とか無いん?」

「私の住んでた所はそんなに酷く無かったから」

「へ〜!」

これぞ転校生の性と言う物か。
1時間目の授業のチャイムが鳴るまで(正確には、教科の先生が教室に来るまで)質問責めにあった。
漸く、質問責めが終わり、安堵から肩の力を抜いた。
そして昨日貰ったばかりの真新しい教科書を開く。
すると、ふと視線を感じたので、右隣を見る。
隣の綺麗な髪色をしている人がこちらを見て苦笑していた。


「堪忍な、あいつら五月蠅かったやろ?」

「ううん、全然だよ、…えっと……」

「俺は白石蔵ノ介や、よろしゅう」

「白石君だね、気遣ってくれてありがとう、宜しくね」

綺麗な髪色をしてる人は白石君と言うらしい。
うん、隣が優しい人で良かった!



▽▽▽



無事に初授業を終え、私は白石君と話していた。


「授業、どうやった?」

「前の学校と同じくらいだったから、安心したよ」

「そら良かったわ」

白石君、本当に良い人だな。
優しいし、綺麗だし、きっとモテるんだろうな。


「白石!」

少し考えに耽っていると、元気な声で白石君の名前を呼んだ男の子がこちらへ歩み寄ってくる。
その金色の髪の男の子も顔立ちが良く、四天宝寺には格好いい人が沢山居るんだな.とぼんやりとその人を見ていた。


「雨宮さん、やったっけ?」

「え、あ…はい」

「俺は忍足謙也や!よろしゅう!」

「忍足君、宜しく」

にかっと笑う忍足君。
うん、やっぱり顔立ちが良くて緊張する。
その後、忍足君を交えて3人で他愛も無い会話に花を咲かせた。


*2012/10/21
(修正)2015/12/23


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