好奇心


「…ほんまに白玉やったんや」

4時間目の選択授業。
俺は何時も通りに社会科教室に来て、自分の席に座ろうとした。
そん時、ふと気になっとった円を見たんや。
“これ何や”の下に、丸っこい綺麗な字で“白玉です”と書いてあって、思わず目を見開いた。
ほんまに返事が帰って来るなんて思ってなかったわ。


「財前、座らんの?」

「…今座る」

俺はずっと“白玉です”の文字を見続けてたらしい。
ふと気が付くと、席についとった加藤が怪訝そうな顔をし、俺を見とった。
加藤にそう返し、席に座る。


「よし、皆揃っとんな!授業始めんで〜」

「出欠確認くらいせや!この駄目教師!」

「なんやて!?よっしゃ、出欠確認やろうやないか!」

「そんなん当たり前や!」

アホみたいな漫才を始める先生と加藤にクラスは大爆笑。
俺はそれを冷めた目で見てから、再び白玉と判明した円を見た。
字から判断したら…女、やな。
そう思うと、眉が寄ってしまう。
ずっと文字を見つめとると、ふと、違和感を感じた。


「…標準語や」

「何か言うたか?」

「…別に」

俺は加藤の顔も見ずに、白玉を睨むように見つめる。
何で標準語なんやろ。
ワザとか?
それとも…。


「…加藤」

「なんや?」

「自分、どう言う時に標準語使う?」

「標準語?」

加藤は驚いたように目を見開き、何や考えるように唸りよった。


「…無い、なあ」

加藤の答えに、内心やっぱりかと思うた。


「先生に話かけるときやって関西弁やし、そもそも標準語使いにくいやん」

「…せやな、おおきに」

不思議そうな表情をした加藤は首を傾げ、「お、おん…」と言い、前を向いた。
この白玉を描いた奴は何で標準語使うたんやろか。
…なんや、気になってきたわ。
俺はノートの端を破り、そこの俺のメールアドレスを書き、机の中に入れた。
そして、“白玉です”の下に“机の中”と書いた。
…俺、何しとるんやろ、まあ、偶にはええか。
そう結論付け、俺は机に腕を乗せ、その上に頭を乗せた。
メール、来るんやろか。
そんなことを考えとるうちに、いつの間にか眠りへと誘われていた。



*2013/06/14
(修正)2015/12/23



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