アスタリスク | ナノ

輪廻転生


“輪廻転生”。
この言葉な何となく見知ってはいた。
人は死に、そして輪廻を巡って転生する、こんな感じの意味だったと私は思う。
しかし、私はこの言葉はただの迷信だと思っていた。
人は皆、死んだらそれで終わりだと、そう信じ込んでいたのだ、今までは。



▽▽▽



ふっと意識が浮上した。
瞼は固く閉じられており、開けることは出来ないが、どうやら私は生きているらしい、ら
何かで圧迫されているのか、苦しい。
薬液だろうか、生暖かい液体の中で浮かんでいる。
だがこうして意識があるということは、きっと生きているのであろう。
そう思い、私は落胆した。
その瞬間、突如強く圧迫され、苦しくなった。
手を伸ばして助けを求めるにも、力が入らずされるがまま。
苦しくて苦しくて、もしかして今から死へと向かうのだろうかだなんて考えてしまうほど、強く身体中を圧迫される。
圧迫され続け、何分、何時間経っただろうか、一気にその圧迫感が無くなった。
温かい何かに包まれ、漸く開放されたのだ。
それが何故かとても嬉しくて、私は何年ぶりかの涙を流した。


「おぎゃぁぁ!」

自分でも、出た声に驚きを隠せなかった。
私は何故、赤ん坊のような泣き声をしているのだろうか。
ゆっくりと瞼を開けるが、視界はぼやけていて、何が何だか理解が追いつかない。
自分は何か、白いものに包まれており、手をきゅっと握られた。
そこで、紅葉のような小さな手を見て漸く理解をした。
私は信じていなかった輪廻転生をしたらしい。
前世の記憶を持ったまま。
そうなれば、先程まで浸かっていた温かい液体は羊水、圧迫が繰り返されていたのはお腹の中にいたから。
そう考えれば、全てが繋がる。
私は体を綺麗に清められ、再び白いタオルに包まれた後、誰かの腕の中へと収まった。


「初めまして、貴女のお母さんよ…」

そう優しく私に語りかける女性が新しい母親なのだろう。
目がはっきりと見えないため、どんな表情をしているのかは伺えない。


「サツキ、お前のお父さんだぞ」

そう言って私の小さな手を握ってくれたのが新しい父親、という所だろうか。
いや、それよりも先ほど、サツキと呼ばれた気がする。
まさかとは思うが、私の名前なのだろうか。
嗚呼、何という因果か、前世と同じ名前だなんて。


「あら、この子オッドアイだわ!」

「本当だ、綺麗だなぁ」

その言葉に、私は本当に呪われているのではないかと自身を気味悪く思った。
前世の記憶を持ったまま、前世の名前を持ち、前世と同じ異形な姿を持ったまま、再び産まれるなんて、呪われているとしか言いようがない。

嗚呼、ごめんなさい。
私なんかが貴方達の子供になってしまって、本当にごめんなさい。


「きっと、この子がサラヴィア家を支えてくれるのね」

「嗚呼、喜ばしいことだ」

「サツキ、生まれてきてくれてありがとう」

その言葉が、ゆっくりと心に染み込んだ。
私、サツキ=サラヴィアは、今日、この新しい世界で生を受けた。



*2013/08/21
(修正)2015/12/20


|
BL小説コンテスト開催中
テーマ「禁断の関係」
- ナノ -