乱戦


「何、あなた、気にくわないわねぇ…」

少女はアラジンの目を見て、眉を寄せる。
アラジンは杖に光を集めたまま、少女を睨む。


「私たちは、化け物に襲われてた身内を助けただけよ?」

「違う!ウーゴくんは、みんなを、僕を守るために戦っただけなんだ!先に手を出してきたのはその人だ!」

「…そう、じゃあ、あなたがあの化け物の主なのね?」

ギロリと鋭い目つきでアラジンを睨む少女。
その目には恨みが篭っており、明らかにこちらに敵意を抱いていた。


「じゃあ、下にいるそいつらも、あの化け物の仲間なのね…?」

「いかが致しますか、姫君」

「片付けるしかないわねぇ…、閻心、閻体、閻技、やっておしまい!」

少女が片手をスッと上げると、後ろから人なのかよく分からない生き物がアラジンの横を
素早く通り過ぎ、俺達がいる地面に足を下ろした。


「な、なんだこいつら!」

「この子は私が片付けるから、そのゴミたちは3人で…皆殺しよ!」

少女の声に反応し、3人は異形な姿を顕にしながら人々を襲いにかかる。
なんだこいつら、人間か?
いや、こいつらなんてどうでもいい、早く弥空を取り戻さねぇと。


「おい、お前ら」

「アヴィ、下がって!」

俺が一歩前に出ると、ジャーファルが俺を守るようにして武器を構える。
ああ、そうか、ジャーファルたちは俺のこと知らねぇから、こうして守ろうとしてくれてんだな。


「大丈夫だって、こんな奴ら、俺1人で片付けられる」

俺はジャーファルの横を通り抜け、異形な姿を顕にしている3人の前に立ちはだかった。
すると3人はまるで嘲笑い、手加減をするかのように、3人の中の1人だけが俺を襲いにかかる。
随分と馬鹿にされたものだな。


「俺を誰だと思ってるんだ、よ!」

右手を前に出し、先ほどのジンの魔法によって崩れた岩を移動させ、目の前の敵の体内へと移動させ、腕を1本切り離した。


「っ!」

「何をしたんだ…?」

「魔法か?」

ざわざわとざわめき出した周りに眉を寄せながら、俺は襲いかかってくる他の2体を宙に移動させてから、弥空がいる絨毯に移動した。


「なっ!貴様、どこから!」

「どこからって、そこからだけど?」

夏黄文と呼ばれていた男性がジュダルに施していた治療をやめ、こちらを睨んでくる。
そんな男性を尻目に、俺は弥空を横抱きし、怪我がないかを確かめる。
怪我はなし、と。


「な、なんなの、貴方…、いいわ、私も本気を出そうじゃないの、 悲哀と隔絶の精霊よ、汝に命ず、我が身に纏え、我が身に宿れ…我が身を大いなる魔人と化せ、ヴィネア!」

少女の体を水が纏い、少女の姿がぐにゃりと歪んだ瞬間、シンドバッドが少女の手首を握った。


「やめてくれ!お嬢さん!」

「何よあんたっ!…っな、なに…?」

シンドバッドが握った少女の手首から、少女を纏っていた金属のような鎧が溶かされていく。
なんだあれ、シンドバッドは何かを溶かしている、否消している…?
少女は驚き、その場にへたりと座り込む。


「お嬢さんは、煌帝国の姫君とお見受けしたが…」

「あ、あなた誰…?」

「私はシンドバッド、シンドリア国王シンドバッドだ」

シンドリア国王ってことは、シンドバッドは王様ってとこか。
国を打ち立てた、なんて嘘かと思ってたけど、本当だったんだな。
成程な、と関心しながらも絨毯から地面へと移動した。



*2015/12/30


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