非日常へ


今日も予報通り、雲1つない晴天となった学園都市。
そんな退屈な日常に溜息を零しながら机にうつ伏せた。


「退屈そうな顔してんじゃねぇよ」

「アヴィ、何のよう?」

そんな私に前の席を無断で借り、どっかりと座り込んだ幼馴染みで腐れ縁のアヴィ・ルークが私の机で頬杖を付きながら話しかけてきた。
幼馴染みと言うか最早家族同然の存在となりつつアヴィ。
そんなアヴィと私が仲睦ましく話してい姿をよく思わない生徒がちらちらとこちらを気にしながら眉を寄せている。
アヴィ君と話してる、レベル0の癖に、などと聞こえてくる嫉妬心に塗れた汚い言葉を聞き流す。
正直とても不愉快だ。
けれども気にしてたら限がない。


「レベル0、ねぇ…」

「五月蝿いよ、アヴィ」

その言葉の断片を聞き取ったアヴィがにやりと口の端を上げながら私を見た。
そう、私は学園都市内でレベル0、所謂無能力者と言うレッテルを貼られて過ごしている。
そんな私の幼馴染みのアヴィは学園都市に7人しかいないレベル5、超能力者の第6位。
そして顔も整っており、とても人気があるのだ。
私とアヴィでは天と地の差がある、と周りは言いたいのだろう。
まぁ、私が本当にレベル0ならば、の話だが。


「くだらない」

「同感」

「アヴィに好意を持ってる子たちでしょ、何とかしてよ」

「関わりたくねぇからパス」

関わりたくないって、と横目でアヴィを睨みつつ、何の変哲もない日常が退屈で欠伸を漏らす。
人間、どんなに恵まれた環境にいても、何の変哲もない日々が続くとスパイスが欲しくなるものなんだろう、私のように。
私はガタリと音を鳴らしながら椅子から立ち上がる。
アヴィも私の行動を先読みしたらしく、椅子から立ち上がり、自分の席に掛けてあったスクールカバンを手に取った。
そして再び私の席の付近に戻ってきて、私の鞄も持ってくれた。


「ありがとう」

「おう」

そんなやり取りをした後に教室を出た。
教室を出る際にちらりと室内を見ると、嫉妬心に塗れた視線が突き刺さった。
基本的にアヴィは私としか話さないし、私もアヴィとしか関わらない。
その関係が甘ったるい特別感を思い浮かばせるのだろう、そんな関係ではないけれども。
まぁ、関係ないか。



▽▽▽



「んー、いい天気!」

屋上に着いた私たちは扉に鍵をかけ、鞄を扉の近くに寄せて日差しを浴びて温かくなっているアスファルトに寝転んだ。
そんな私を見て微笑んだアヴィは、私の隣に腰を下ろした。


「そういや、明日システムスキャンだな」

「あー、そうだっけ?」

システムスキャン、所謂能力数値テストとでも言えばいいのだろうか。
能力によってテストは様々だが、私は毎年適当に受けて適当に過ごしている。
本来の私の能力があからさまになってしまえば、厄介なことになるから。
退屈なシステムスキャンのことを思い出し、私はゆっくりと上半身を起こした。


「明日は大変だね、学園都市第6位さん」

「随分と人事だな」

「私は今年もレベル0になる予定だからね」

そう言ってにっこりと笑えば、アヴィは眉を寄せてフェンスによし掛かった。
私もアヴィと同じような体制になり、空を見上げる。
いつもと同じ日常、この退屈な日常が嫌で再び欠伸を漏らす。

その瞬間、ほんの一瞬だった。
ぽつり、と頬になにかが触れた。
空を見上げるが、何も無い、先ほどと同じ澄み切った空が無限に広がっているだけだ。
気のせいかと思い、アヴィとまた下らない世間話をしようと口を開いた瞬間、多くの雨粒が私たちの上に降り注いだ。


「っ、なに?」

学園都市の天気予報が外れるなんて有り得ない。
そう思い空を見上げるが、底には先程と同じ雲1つない空が。
なのになぜ雨が降っているの?
まさか、能力?
そう思い再び空を見上げた瞬間、青い雷が私たちの頭上に落ちてきた。
本来ならば私の能力“幻想殺し”のお陰で能力は消えるはずなのだが、その青い雷は消えずに私たちの足元に落ち、何やら見たことのない魔法陣のようなものを描き出す。
これは危険だ、そう思ったが最早遅かった。
魔法陣のようなものをがパッと光り、目が眩んだ。
そして意識は闇に飲まれ、ゆっくりと手から離れていった。



*2015/11/22


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