月夜に舞う


「大丈夫?」

「っ、お前…?」

ジュダルの前に立ち、“空力使い”でジンを吹っ飛ばした。
どうやら痛手を負っているものの、まだ意識は辛うじてあるらしい。
良かった、と心から思う。


「お前、チビの味方じゃ、ねぇのか、よ」

「敵味方とか関係ない、私は貴方を助けたいと思ったから助けただけだよ」

「っ!」

「ソラおねえさん、前!」

アラジンの言葉に、すぐ様刀を抜いてジンの拳を受け止める。
流石ジン、凄まじい力だけれども。


「なんとか、大丈夫っ、!」

再び“空力使い”で吹き飛ばす。
あんまり能力は使いたくなかったんだけどな、まぁ今は緊急事態だから仕方がないか。
それより、今は目の前のジンをどうするかが問題だ。


「ジンってどうしたら元に戻るの?」

「それが、お願いしても、戻ってくれなくて…」

アラジンは悲しげに、拳をぎゅっと握りしめながらそう言った。
成程、暴走してるってことか。


「アラジン、ごめんね、手加減出来ないかも」

「無茶だ!相手はジンだぞ!」

「でもやらなきゃ、この人が死んじゃうでしょ?」

「っ、それは…」

私はシンドバットさんとの会話を終了させ、再び刀を構える。
ジンはふらつきながらも、再びこちらに襲いかかる。


「無茶でもなんでも、やらなきゃ、ね!」

“空力使い”を使い、自分がいる地面から風を送り出して高く、高く飛んだ。
そしてジンの背後に周り、再び吹き飛ばす。
壁に激突したジンだか、再び立ち上がる。
これじゃあ拉致があかない。


「ソラ!他のも使え!」

アヴィが私の身を案じてくれたのか、他の能力、きっと殺傷力の高い能力を使えと言う意味であろう言葉を紡いだ。
先程から私はジンを吹き飛ばすことしかしていない。
吹き飛ばす程度じゃ、擦り傷くらいのダメージしか与えられない。
あの盗賊団のアジトで使用したように、鎌鼬のように殺傷力のある技を使えば、きっと簡単に倒せるだろう。
けれども。


「アラジンの友達だから、そんなことは出来ない」

「!おねえ、さん…」

だから、出来るだけ傷つけずに。
そうしたいのが山々だが、何しろ相手はジンという精霊だ。
能力を使わなければやられてしまう。


「っ、どうしたら…」

思考を張り巡らせていたその時、ジンがピタリと動きを止めた。
どうしたのだろうか、と動向を伺っていると、ゆっくりと手を組んで振りかぶった。
その手には何やら光が集まりだし、何か大技が来ることを示していた。


「な、に?」

「まずい、全員逃げろ!」

シンドバッドさんの言葉に、周りにいた市民は我先にと逃げていく。
まさか、命を奪う気では。
そう考えた時にはもう拳が振り下ろされていて。
能力を使って、ジュダルの周りを風で覆い、守ることが精一杯だった。


「ソラ!」

次の瞬間、眩いばかりの光に包まれ、私の意識は闇へと沈んでいった。



*2015/12/30


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