黒い太陽


霧の団のリーダー怪傑アリババがバルバッド国の第3王子であり、単身王宮に乗り込んだと噂が流れたらしい。
それを聞いたのは、もう夕方になってからだった。


「おはよ、アヴィ…」

「おそようの時間だな、弥空が寝てる間に色々あったんだぜ」

ベッドからゆっくり体を起こした私に、アヴィは噂を教えてくれた。
その結果を聞くべく、霧の団のアジトである元スラム隔離居住地区内の廃灯台に市民が続々と集まっているらしい。


「私たちもそこへ向かおう」

「ああ」

場所が分からないので、道すがら人に聞いて歩いていくことになった。



▽▽▽



「あれ、遅かったみたいだね」

「そう、みたいだな」

既に市民は散り散りになっており、緊張感なく自由に過ごしている。
きっと結果を聞いた後なのだろう、もう少し早く来れば良かったな、と後悔していたその時。


「おーい!シンドバット!」

空中からよく響く青年の声が辺り一体に響いた。
空を見上げるようにして視線を上げると、穴があいた天井から空を浮かんでいる絨毯の上に月を背に仁王立ちしている黒いたっぷりとした髪を編んでいる青年が見えた。


「黒い、太陽…?」

違う、あれは黒いルフがあの人の周りを飛び交っているのだ、それが黒い太陽に見えたのだ。
あれ、ルフの色が黒へ変わっているということは、運命を恨んでるってことなのだろうか。
もっとルフについてよく学んでおけば良かったと後悔した。
黒いルフを纏った青年は絨毯から飛び降り、私たちがいる廃灯台の中へと入ってきた。


「よっ、バカ殿!ここで何してんの?」

「なんだアイツ…」

青年の登場に、当たりはざわつく。
バカ殿、とはシンドバットさんの事なのだろうか。
そういえばシンドバットさん、自らの口をうちたてた、と言っていた気がする。
あれ、もしかしてシンドバットさんはどこかの国の王様なのでは?


「ジュダル、お前アブマドの手先として来たのか?それとも煌帝国のか?」

「…あ?ああ!違う違う!正直、俺そういうのどうでもいいから!」

「貴様ら、この国で一体何をする気だ?」

「さぁ?親父どもの考える経済どうのってのは、俺には興味のねぇ話だからな…、そんなことよりわかってんだろ、シンドバット?俺が好きなのは、戦争だよ」

ジュダルと呼ばれた青年は年相応の笑顔から一転、狂気に満ちた笑顔を振り撒いた。
その笑顔に、背筋が冷たくなるのを感じた。


「強いんだせ!俺のいる煌帝国は!兵隊も沢山いる、迷宮攻略者の将軍もいる、迷宮怪物軍団だってできたんだぜ!すっごいだろ?」

「貴様ら…」

「…ジャーファルおにいさん、あの人は?」

私たちのすぐ側にいたアラジンが、隣にいたジャーファルさんに問いかけた。


「彼はジュダルといって、我々と因縁のある男…、そしてアラジン、あなたと同じマギですよ」

「マギ!?」

シンドバットさんが言っていた、仲良しではないが知っていると言っていたマギとは、このジュダルという青年の事だったのだろうか。


「あ!勘違いすんなよ!俺が1番組みたいのはシンドバット、お前なんだぜ!煌帝国の皇帝はどうも気に食わなくてよ…、だから、いい加減俺と組んで、世界征服を目指そうぜ!」

「何度も言ってるだろ、俺はお前らの操り人形にはならん」

シンドバットさんに手を差しのべたジュダルだが、その手を取ってもらえず、小さくため息をついた。



*2015/12/12


話題のバーチャルSNSアプリ
バチャスペ
- ナノ -