作戦会議


ホテルのとある一室へと通された私たちは、豪華絢爛な調度品の中の1つ、シンプルな作りだがどこか高級感を漂わせているソファーにゆっくりと腰をかけた。
ジャーファルさんは全員が座ったのを確認すると、バルバッドの地図を広げながら口を開いた。


「では、国軍や市民から集めた盗賊団の活動傾向をお伝えします」

ジャーファルさんは机の上に地図を広げた。
地図記号などが一切ない地図。
私たちは元の世界の地図に慣れているので、少し読みにくかった。


「1つ、彼らが動くのは霧深い夜、バルバッドは霧の街です、海からの風が丘にぶつかり、よく霧が発生します、彼らはその霧に乗じてやってくる」

「だから霧の団って名前なのかもな」

ジャーファルさんの言葉に、アヴィが皮肉を込めてそう呟いた。


「そうかもしれませんね…、2つ、彼らの狙いは国の倉庫や金持ちの倉庫、十数人の小ユニットで動き、多くても百人未満で金品・食料・武器を奪い去っていきます、そして3つ目、気がかりなことに…」

ジャーファルさんは地図のとある一点を指差し、軽く目を伏せた。


「彼らは毎回警備の裏をかき、国軍の手が薄い所を狙います、内部からの情報がもれている可能性が高いです、さらに厄介なことに、市民の多くが彼らに協力的です、街に逃げ込まれたら見つけられません」

「盗賊なのに、街の人が協力するの?」

「はい、彼らは奪った金品を貧しい市民に分け与えるので、義賊と呼ばれ人気があります、中でも最近人気なのは怪傑アリババと呼ばれるリーダー格の男だそうです」

「怪傑アリババ…」

ちらりとアラジンを見ると、アラジンは自らの考えを振るうかのように、首を左右に振るっている。
恐らく、私たちと同じことを考えたのであろう。
もしかして、怪傑アリババが、私たちの探しているアリババなのではないか、と。


「あの、国民が支持している人を捕まえてしまうことは正しいのでしょうか…?」

「俺は正しいと思っているが、君たちはどうだい?」

そう言ってシンドバットさんは私とアヴィを見る。
私たちは目を合わせ、頷いた。


「私たちも、正しいと思う、義賊だろうが犯罪には変わりない」

「金品を分け与えているのが、犯罪を正当化するための行動にしか思えないしな」

「ああ、俺もそう思うんだ、君たちも自分で考えて決めてくれ」

「僕も考えてみるよ」

「私も」

例え、市民から人気を集めていようと、犯罪は犯罪。
犯罪を犯してしまった人は、罰則を受けなければならない。
いくら人の為と豪語しようとも、犯罪には変わりないのだから。
そう思いつつ、まだ見ぬアリババさんを思い浮かべる。
私たちの探しているアリババさんが、その怪傑アリババであって欲しいと思う反面、そうで無ければいいと言う矛盾に駆られた。



*2015/12/03


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