一緒に
「いいですよね、シンドバットさん」
「ああ、いいとも!ではアラジンにアヴィ、早速作戦を練ろう!」
「うん!」
「ああ」
「そして、モルジアナとソラは宿で待っていてくれ」
シンドバットさんの言葉に、私とモルジアナは固まってしまう。
何故、私たちは宿で待機なのだろうか。
モルジアナも戸惑っており、シンドバットさんに声をかける。
「あの、私も戦います…」
「私も」
「いや、いくらファナリスでも、女の子を戦わせらんないよ、君たちは部屋で待っていてくれ、な?」
そう言って私とモルジアナの肩を押すシンドバットさんに、私は苛立ちを覚えた。
そう、私は足でまといだと、そう言いたいのかしら?
モルジアナも苛立きを隠さず、地面を足でぐしゃりと音を立てて抉った。
「私も戦います!目的のために、盗賊団をいくつだろうとしとめる覚悟です」
ムスッと頬を膨らませながら怒りを顕にするモルジアナ。
「モルさん強いんだよ、この間もそこの採掘場砦の盗賊団を壊滅させたもの、僕捕まってた所を助けて貰ったんだ」
「え、マギが捕まった盗賊団を…?ファナリスって強いんだね、…じゃあソラは1人で宿に」
私は素早く刀を抜き、シンドバットさんの喉元へと峰を当てた。
全く動きが見えなかったのか、シンドバットさんは冷や汗を流す。
見えなくて当たり前だ、“空力使い”で刀を一気に首元まで突き立てたのだから。
「言っておきますけど、その壊滅させた盗賊団、私も一緒に戦いましたから」
「因みに、俺達は隊商に護衛として半年くらい雇われてたんだけど、その半年で盗賊団を8つ、壊滅させたぜ」
「そ、それはソラもいたのかい…?」
「当たり前です、余裕で片付けましたよ」
にっこりと笑顔を深めてそう言えば、シンドバットさんはひきつった笑みを浮かべながら、私も戦うことを許可してくれた。
「ありがとうございます」
にっこりと笑い、刀を収める。
だが内心は穏やかではなかった。
全く、私を誰だと思っているのかしら。
“幻想殺し”があるからレベル0を演じているだけ、レベル5の序列争いに参加したくなかったから偽っているだけ。
言っておくが、常盤台の超電磁砲や一方通行など、私の相手ではない。
やろうと思えば、学園都市に存在する能力全てを再現することが出来るであろう。
自惚れなんかではなく、これは事実だ。
「…学園都市の本当の第1位は私なんだから」
「ソラおねえさん、何か言った?」
「ううん、何でもない」
「さ、じゃあホテルに戻って作戦会議をするとしよう!」
シンドバットさんの言葉で、皆はホテル内へと戻っていった。
*2015/12/03