盗賊退治
シンドバットさんは、アラジンに霧の団を一緒に捕まえて欲しい、そう提案した。
アラジンとモルジアナは少し考えたが、モルジアナがやりましょうと、アラジンに言った。
「暗黒大陸行きの船を止めている原因が件の霧の団だからです、霧の団を倒せば船も出航するはずです、さらに先程の話ではこの方はバルバッド国王と親交があります、問題を解決すれば、アリババさんを探すのに国の力を借りられるかも知れません」
「ほぉ、モルジアナは頭がいいな!」
「人探しをしているんです、王様に頼んでくれますよね?」
「勿論だ、バルバッド国王にかけあった上で国中を探そう、さらに暗黒大陸行きの船も俺が責任を持って手配するよ、それでどうだい?」
「やるよ!盗賊退治!」
「そうか!では早速…」
「ちょっと、待ってください」
話が纏まって来ていたので、慌てて遮る。
皆は私を見て、何かあったのかとでも言うかのように首を傾げる。
「おい、モルジアナ、さっきなんて言った?」
「え、さっきですか?」
「おう、人探しをしているって言ったよな、そいつの名前は」
「アリババさん、ですけど…」
「もしかして、そのアリババって、チーシャンで迷宮を攻略した人?」
「!アリババくんを知っているのかい?」
アラジンとモルジアナが驚いたように私とアヴィを交互に見る。
私たちもアリババと言う名前が出て驚いたのだ。
まさか、私たちが探しているアリババという青年が、アラジンの友人だったとは。
偶然、の一言では片付けられない。
「いや、一方的に知っているだけだ」
「私たちはそのアリババって人に会いたいの」
「それは、どうしてだい?」
「それは…」
「俺達、元奴隷で、チーシャンでアリババって人に救われたんだ」
「!そうだったんですか…」
アヴィが何時ぞやの露店での設定を取り出し、元奴隷のため、アリババに感謝をしたいということにしたのだ。
なぜそんな設定を、とも思ったがすぐに納得した。
こんな所で、金属器に用がある、なんて発言したら問い詰められるであろう。
何故、金属器に用があるのか、と。
まさか異世界から来たので、帰るためですだなんて馬鹿な発言は出来ない。
「まさか、アラジンたちの友達だったなんて…」
「僕も驚いたよ、だから故郷は無いって言ってたんだね…」
「ああ、うん」
そういうことにしておいた方が良さそうだ。
そう思い、曖昧にだが頷いた。
「そういう訳だから、私たちにも盗賊退治を手伝わせて欲しい」
これで、アリババさんに会うという目的に一歩近づけるはず。
*2015/11/29