魔法陣


迎えに来てくれたアラジンとモルジアナと共にホテル前でシンさん達を待つ。
数分後に現れたシンさんたちと共に、ホテル内のレストランへと足を踏み入れた。


「うわぁぁ!」

「バルバッド名物、エウメラ鯛のバター焼きだ!」

シンさんが頼んだのは、バルバッドの名物らしい。
バターの甘く香ばしい匂いが食欲を唆る。
アラジンが涎を垂らしそうになりながら、バター焼きをじっと見つめている。


「アラジン、モルジアナ、はいどうぞ」

「ありがとう!」

2人に取り分けてあげれば、顔を輝かせてむしゃむしゃとバター焼きを口にした。
その間、話しているシンさんの言葉はきっと左から右へと抜けていると思われる。


「そういえば、部下の紹介がまだだな、部下のジャーファルとマスルールだ」

緑のクーフィーヤを身につけている方がジャーファルさん、赤髪の金属製の鎧を付けているのがマスルールさんだそうだ。
因みに、モルジアナとマスルールさんは同じファナリスという種族らしい。


「ファナリス?」

「戦闘民族、ファナリスですよ」

成程、モルジアナがとても強靭な体をしているのは戦闘民族だからなのか、と納得した。
でも、モルジアナであれだけの戦闘力があるのだ、体も筋力もモルジアナよりあるマスルールさんはどれ程の力があるのだろうか。


「僕はね、アラジンだよ!」

「…モルジアナ、です」

ファナリスという種族は珍しいらしく、初めて同じ種族に会ったモルジアナはどういう表情をすればいいのか分からず、視線を床に逸らしながら挨拶をした。


「ソラと言います、ホテル代を払ってくださってありがとうございます」

「アヴィだ、よろしく」

「…っす」

私たちも自己紹介をし、頭を下げれば、マスルールさんも頭をぺこりと下げてくれた。
それにしても、本当に逞しい体をしている。
ふと、マスルールさんから昨日のシンさんの一糸まとわぬ姿を思い出してしまい、頬に熱が集まってしまった。


「…どうかしたんすか」

「い、え…」

恥ずかしい。
なんで今思い出してしまったんだろう、と首を横に振る。
そんな私を、マスルールさんは不思議そうに首を傾げて見ていた。


「そうだ!僕のお友達も紹介するね!」

アラジンが喜々としてマスルールさんに金属製の笛を見せた。
よく見ると、その笛には見覚えのある魔法陣が描かれていた。
あの魔法陣は、私たちがこの世界に飛ばされる時の…!
まさか、アラジンのあの笛。


「アヴィ…!」

「ん?どうかしたのか?」

「あれ、アラジンの笛に、魔法陣が…」

「っ!」

アヴィは私の言葉を聞き、すぐにアラジンの笛へと視線を合わせた。
そして魔法陣を見つけ、驚きに目を見開いた。
アラジンはそんな私たちに気付かず、笛に口をつけた。
すると笛からはにょきにょきと2本の青い逞しい腕が現れ、それをシンさん越しに見たジャーファルさんはコーヒーを口から吹き出した。
そんなジャーファルさんに驚きつつ、シンさんも振り向いて驚いた。


「うわぁぁ!」

大声を上げてしまい、注目を浴びた私たちはアラジンに笛に戻すよう伝え、その場から離れた。
もしかして、あの青い巨人こそが、ジンと呼ばれる精霊で、それが宿っているあの金属製の笛こそが、ジンの金属器なのではないだろうか。
ドキドキと高揚感で高鳴る胸を抑えるかのように、胸元で手をきゅっと握った。



*2015/11/29


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